徹夜して覚えれば大丈夫? 

グッスリ眠れば、効率よく記憶できます

グッスリ眠れば、効率よく記憶できます

20数年前、私が受験生だったころは、「4当5落」という言葉がありました。毎日の睡眠時間を4時間に削って勉強すれば志望校に合格できるが、5時間も眠っていたのでは不合格になってしまう、という言い伝えです。

最近ではこのようなことはあまり聞かれなくなりましたが、睡眠時間を削って勉強している人たちは今でも多くいます。学習にとって睡眠は、本当に無駄なものなのでしょうか?

徹夜で勉強すると、勉強してから眠るよりも学習時間が長くなるため、量的に多くのことを記憶できます。勉強以外のことで頭を使うことも少ないため、記憶したことの多くが忘れられずに脳に残ったまま、試験を受けられます。そのため、徹夜して覚えたことを思い出しやすく、比較的よい成績をとれることがあるのです。

ところが残念なことに、徹夜で勉強したことの多くは、数日もたつとキレイさっぱり忘れてしまいます。1回のテストですべてが決まるのなら、試験の後に記憶がなくなってもかまわないでしょう。しかし、大学入試や資格試験は合格したあとにも、それまでに勉強した知識を使えなければ意味がありません。


記憶するメカニズム

一度覚えただけでは、すぐ忘れます

一度覚えただけでは、すぐ忘れます

記憶はその内容から、3つに分けられています。いつどこで何があったなどの出来事を「エピソード記憶」、百科事典や辞書に載っている知識を覚える「意味記憶」、自転車の乗りかたなど言葉では表現できないスキルの「手続き記憶」です。

エピソード記憶と意味記憶は、意識的に思い出して言葉で表現できるので、2つまとめて「宣言記憶」とも呼ばれています。勉強で覚えているものは、主に意味記憶あるいは宣言記憶です。

何かを暗記するときに、目や耳から入った情報は、脳の海馬というところに一時的に貯蔵されます。これが短期記憶です。短期記憶は、繰り返し思い出したり何度も同じことを見聞きしないと、短時間で忘れてしまいます。このため、初めて聞いた電話番号は、すぐになら電話をかけることができますが、しばらくたつと全く記憶が抜け落ちるのです。

短期記憶を何度も使っているうちに、その情報が大脳皮質に移されます。この状態が長期記憶ですが、油断してこの記憶を使わないでいると、そのうちに忘れてしまいます。あるいは、記憶が残っていても、それを取り出すことができなくなることもあります。逆に長期記憶を繰り返し再生していると、神経のネットワークが強固になり、脳の中にしっかりと保存され、必要に応じてすぐに思い出せます。