ショートスリーパーとロングスリーパー…人によって違う睡眠時間の長さ
80~90%の人は6~9時間の睡眠時間が必要です。しかし短時間睡眠でも元気な人もいます
多くの人の睡眠時間を調べると、6~9時間の人が全体の80~90%を占めています。この人たちは、睡眠時間を削ったり伸ばしたりしやすいので、「バリアブル(variable) スリーパー」と呼ばれています。
一方、睡眠時間が6時間未満の人を「ショートスリーパー = 短眠者」、9時間を超える人を「ロングスリーパー =長眠者」と呼びます。
ショートスリーパーの有名人には、ナポレオンやエジソン、レオナルド・ダ・ヴィンチがいます。明石家さんまや武井壮も、この中に入るようです。日本人での割合は5~8%で、勉強や仕事、遊びで忙しい若い世代に多く見られます。
ロングスリーパーの日本での割合は、3~9%です。アインシュタインもこのタイプで、毎日10時間以上、眠っていました。
ショートスリーパー・ロングスリーパーの特徴・性格に違いも
ショートスリーパーとロングスリーパーの眠りを調べると、どちらのタイプも、深いノンレム睡眠(=脳が休む眠り)の長さには差がありませんでした。しかし、ショートスリーパーでは、浅いノンレム睡眠やレム睡眠(=体が休んで、脳がメンテナンスする眠り)が、少ないことが分かりました。
つまり、ショートスリーパーは、寝つきが早く、浅い睡眠が少ないため夜中に目を覚ますことも少ない、という効率の良い睡眠をとっているわけです。
2つのタイプでは、性格に違いもあります。
ショートスリーパーは外向的で勤勉なため社会に適応しやすく、自信を持って精力的・野心的に活動するため多忙です。また、不平不満はあまり持たず、自分自身や現在の状況におおむね満足しています。
一方、ロングスリーパーは、内向的で孤独を愛し、創造的でしかも細かい点にまで注意を払います。また、社会や政治に批判的な眼を向けるので、現状に満足せず気苦労がたえません。
ショートスリーパーになる方法はあるのか…スッキリ目覚める短時間睡眠のコツ
ロングスリーパーがショートスリーパーになれるかは、今のところまだ不明です。しかし、バリアブルスリーパーは、ショートスリーパーになれる可能性があります。
平均的な睡眠時間の人が、少しずつ睡眠時間を減らす実験が行われたことがあります。6ヵ月後に平均5時間にまでなったところで、実験は終了しました。
興味深いのは、その1年後、自由な生活を過ごしていた実験参加者を調べてみると、平均6時間の睡眠時間を保っていたことです。一度、短い睡眠時間に慣れてしまうと、それを長期にわたって維持できることが証明されたわけです。
これまでの研究では、以下のことを心がけると、睡眠時間を短縮することができそうです。
- 起床時刻は変えず、就寝時刻を1~2週間ごとに、15~30分ずつ遅くする
- 就寝の3~4時間前までに、あまり多くない夕食をとる
- 夕食後は、少し暗めの白熱灯の下で過ごす
- 就寝の1~2時間前に、軽い運動や入浴で、体温を少し上げる
- 日中に短い仮眠をとる
基本は、できることから睡眠環境を整え、少しずつ生活習慣を変えていくということです。あまり無理せずに、ゆっくりと挑戦してみてください。