なぜ春は眠いのか? 6割の人がだるさを感じるという報告も
春になると強まる眠気。その原因は?
肝臓の働きを活発にするアミノ酸・オルニチンの普及・啓発を行っているオルニチン研究会が、全国の20~50歳代の男女400人に対して、春に「だるい」と感じる人の割合を調べた実態調査があります。
この調査の結果によると、全体の約6割の人が「春はだるさを感じやすい季節」と思っており、その割合は年代に比例して高くなっていました。
注目すべきは30代です。この世代は、女性は全世代を通して最もだるさを感じていないのに対して、男性は他の世代よりもだるさを感じている人が多いという結果になりました。思わず、「ガンバレ30代男子!」と応援したくなります。
だるさの原因として、男性では仕事が、女性では寝不足がトップでした。特に20代女性は、7割が寝不足と回答しています。また、男女ともに人間関係をあげる人も、多くいました。春のだるさは陽気のせいだけでなく、社会環境も大きく影響しているようです。
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春の眠気の原因は、メラトニン・体温・交感神経の変化
実験室で明かりを調整し、昼が長い夏条件と夜が長い冬条件を作り出す実験から、季節によって睡眠・覚醒のリズムが異なることが分かっています。夏条件では、就床時刻と起床時刻が早まり、総睡眠時間が短くなります。多くの人が慢性的な睡眠不足に陥っていますから、睡眠時間が削られてさらに睡眠不足がひどくなるため、朝や日中の眠気が強くなります。
さらに、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンは、冬から夏にかけて、分泌量のピークが早い時間帯に移動します。睡眠に大きな影響を与える体温も、同じように最も低くなる時刻が早まります。自律神経でも、寒い冬には交感神経が活発ですが、だんだん暖かくなると、副交感神経が優位になってきます。
このように、体の中のいろいろなリズムが変わってくると、新しい状態に慣れるまで体と心の不調を生じることがあります。春には眠気が強くなるだけでなく、自律神経のバランスが崩れたり、抑うつ気分が強くなったりするのは、このためです。
気温の変化も大きな要因です。冬の朝、寒くて目が覚めてしまう人でも、春になって寝室の温度が15~20℃くらいになると、気持ちよくなって寝過ごしたり二度寝してしまいます。いろいろなことが合わさって、春の眠気を作っているのでしょう。
春の眠気解消に効果! 目覚めのコツからパワーナップまで
朝の二度寝は気持ちいいものですが、浅い眠りが続くだけなので、睡眠不足の解消にはあまり役立ちません。それならば、起きなければいけないギリギリの時刻に、目覚まし時計をセットしておいて、アラームがなったら布団を蹴飛ばしてしまいましょう。春は明け方はまだひんやりしていますので、寒さで目が覚めてきます。
次に、部屋の明かりをつけ、カーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。光は体内時計をリセットして、新しい1日を始める合図になります。
冷たい水で顔を洗うと、眠気が減ります。ただし、効果時間が短いので、コーヒーやお茶でカフェインも摂りましょう。朝ごはんを食べると、胃腸にある体内時計も目覚めてくれます。これまでは何も食べずに出かけていた人も、牛乳とバナナなど食べやすいものを、少し摂ることから始めてみましょう。
気を抜くと、日中にも眠気が襲ってきます。そんなときは、ガムを噛んだり近くを歩いたりしてください。このようなリズム運動をすると、脳を覚醒させる働きがあるセロトニン神経が活性化されます。1人で勉強や仕事をしているときに眠くなったら、他の人とおしゃべりすることも効果的です。
どうしても眠気に勝てそうもないときには、いっそ眠ってしまいましょう。「居眠り」ではなく「パワーナップ」と呼べば、後ろめたさもなくなります。横にならずに椅子に腰掛けたまま、10~20分ほどだけ眠ります。目をつぶる前に、今ある問題について考えておくと、目覚めたときによいアイデアが浮かぶことがあります。「追想法」というもので、トーマス・エジソンや湯川秀樹博士も、これからアイデアを得ていました。
春の眠気を逆手にとって、充実した時間をお過ごしください。