食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

残暑の食卓に涼感を呼ぶキュウリ(2ページ目)

残暑厳しい毎日で夏バテぎみの方も多いのでは? キュウリは栄養価は低いですが、昔から体にこもった熱を冷ますと言われ、夏バテの時期におすすめの食材です。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

ヘタでクルクルしてアクをとる

糠漬けは、ビタミンB群が増え、乳酸菌も摂取できます。

糠漬けは、ビタミンB群が増え、乳酸菌も摂取できます

和食の調理では、キュウリの下処理として、ヘタを薄く切り、実の切り口と合わせてくるくると回すと、アクがとれると昔から言い伝えられてきました。確かにそのようにすると白いつぶつぶが出てきます。

野菜茶業研究所のサイトでは、アクの原因物質と、アク抜きのメカニズムが報告されています。

このアクの渋味成分はギ酸で、果皮周辺の維管束中から侵出してくるもので、渋味を抜くには有効だと考えられています。このギ酸を含む浸出液は、短時間で固化し、固化すると渋味を感じなくなるそうで、切ってすぐに食べる時に有効。また塩で板ずりする方法も、果皮からの渋味をぬくのに有効だとしています。

昔のキュウリは、苦みがもっと強かった印象があり、生でいただく時には効果が感じられたのではないかと思います。今時のキュウリは苦みも少ないので、私はいつも緑の濃い部分も丸ごと命だといただいていましたが、この方法は単なるおまじないではなかったのですね。

アスコルビナーゼは心配ご無用

「キュウリはビタミンCを分解するアスコルビナーゼという酵素が含まれる。この酵素は熱や酸により作用しなくなるので、ビタミンCの多い野菜と合わせる時は、塩をしたり、酢やレモンなどを使うと酵素の働きが弱まり、ビタミンCを守ることができる」というお話は、よく耳にします。

野菜等健康食生活協議会事務局のサイトなどによると、このアスコルビナーゼについて、ニンジンを例に解説し、「ビタミンCを分解するのではなく酸化させる」こと、そして近年は酸化したビタミンCも、体内では還元型と効力は変わらないと考えられていると記載されています。

「五訂増補日本食品標準成分表」では、還元型と酸化型を合わせた総量(総ビタミンC)をビタミンC量として示しています。ですからキュウリのアスコルビナーゼでビタミンCが減ってしまうという心配はいらないそうです。

参考
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
農畜産業振興機構
野菜等健康食生活協議会事務局(2013年に事務局解散)
五訂増補 日本食品標準成分表
野菜のビタミンとミネラル(女子栄養大学出版部)
栄養「こつ」の科学(柴田書店)
その他


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