露地物のシソは、夏が旬
さわやかなシソの香りには、食欲を促す働きがあります。
またシソは、葉だけでなく、収穫の時期により、紫芽(むらめ=赤ジソの芽に本葉が2枚ほど出た状態)、青芽(青ジソの双葉の状態)、花穂ジソ、穂ジソ(花が落ちて、実が未熟な状態)でも楽しめます。
青ジソ、芽、花穂ジソ、穂ジソは、主に刺身のつまや薬味に使われ、赤ジソの葉は梅干しや紅しょうが、漬け物の色づけに使われます。実は佃煮や福神漬け、しそ油に利用されます。
古くは食欲増進、食中毒予防に活用
シソは中国から日本に渡来し、すでに縄文時代から食べられていたと見られ、平安時代には栽培されていたと見られています。中国には、蟹を食べて食中毒になった少年が肌の色が紫色になり死にかけましたが、名医がわたしたシソの葉を煎じて飲んだところ、命が蘇ったことから「紫蘇」と名づけられ、以来シソは魚や蟹の毒を消す薬として用いられるようになったたというエピソードがあります。
日本でも、初めは油を採取したり薬用とされ、漢方では、葉は「蘇葉」と呼ばれ、のぼせを抑え食欲増進や毒消しに、また体を温めるので他の生薬と配合して発汗を促す薬に用いられます。実は「蘇子」呼ばれ、喘息や風邪の咳などの症状に使われてきました。
シソのファイトケミカルに注目
近年は化学的にもシソに含まれている様々な成分が研究されています。シソ独特の清涼感のある香り成分は、ペリルアルデヒドやリモネン、ピネンなど。なかでもその半分以上を占めるペリルアルデヒドはシソアルデヒドとも呼ばれ、胃液を分泌し、食欲を促す働きがあるといわれています。またペリルアルデヒドには、ブドウ球菌に対する抗菌作用があると言われています。お刺身のツマや薬味として用いられるシソの量程度ではどの程度有効か、ということは明確ではありませんが、先人の人が経験的に得た「食べ合わせ」の知恵は、理にかなっていたようです。湿度の高いうっとうしい夏の健康維持に、役立ちそうですね。
シソの葉や実には、アレルギー疾患の症状を軽減する効果があると注目されているロズマリン酸やルテオリンというファイトケミカルが含まれています。またシソの実からとれる油は、アレルギー体質を改善したり、老化予防、心筋梗塞を予防する作用多価不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が多く含まれています。