食と健康/外食・コンビニ食・お菓子

コンビニからつながる地産地消の環(2ページ目)

24時間営業でなんでも揃う便利なコンビニ。でも利便性だけでなく、地域社会とのつながりなど、その役割はどんどん広がっています。今回は、コンビニの「地産地消」への取組みをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

北陸から生まれたMOTプロジェクトの種

澤田 良裕
株式会社サークルKサンクス
営業統轄本部 マーケティング本部FF・DF・地区商品グループ
西日本地区商品部 CKSU北陸地区 マーチャンダイザー
澤田 良裕さん
このプロジェクトの牽引役である株式会社サークルKサンクスの北陸地区マーチャンダイザー 澤田良裕さんに、お話を伺いました。

 この「MOTプロジェクト」は、正式には「HOKURIKU MOT PROJECT」という名称で、北陸地域でスタートされたとか。どのようなことがきっかけだったのか、教えていただけますか?

澤田 そもそもの始まりは、私が担当しています石川県、富山県、福井県の北陸3県で、こんにゃくを納入していただいている地元メーカー(株)オハラの小原繁社長との出会いでした。

この小原さんはただ者ではない方でして、すでに「四つの笑顔」、つまり生産者・加工者・販売者・消費者の4者が全員笑顔になれるようにというコンセプトで、流通規格外品の再生事業を展開されていました。また農家や農協関係者はもちろん、県の行政関係にも知己が多い方で、私もいろいろな勉強会にも参加させていただき、たくさんの方との出会いを導いてくださいました。

小原 繁
以前から生産者・加工会社・流通、消費者の共存共栄を願い、自然食品開発にとりくんでこられた
(株)オハラ
代表取締役社長 小原 繁さん
以前から私も、何か地域社会に貢献できることをボランティアではなく事業としてやってみたいと考えていたので、このコンセプトに共感し、こうした「流通規格外再生商品」の販売拠点を提供したいと申し出て、2006年8月に実験的に7つの商品で実施しました。

規格外食材を利用することの壁

 実施に至るまでに、本社や加盟店などの反応はいかがでしたか?

澤田 本社や加盟店では「こういう事業をしたい」とプレゼンをした時、反対意見などはまったくありませんでしたし、こうした取組み姿勢がたいへん評価されました。でもこれが利益にはつながらなかったんです。

 そうなんですか?  でも地元の規格外の食材なら仕入れも安く、輸送コストも抑えられるのではないかと思いますが・・・・。

澤田 一般的には、そう思われるでしょう?
でも例えば、規格品のようにまっすぐな形のよいサツマイモなら、加工工場の生産ラインにのせて皮がむけますが、くねくねに曲がったサツマイモは機械でむけないんです。結局人の手作業でむくしかないから、人件費がかかるんです。

またこの加工工場を探すのがたいへんな苦労でした。果物や野菜をそのままの形で受け入れてくれる所はなく、地元でなければ遠い県外で探すことになり、結局輸送のエネルギーやコストがかかってしまったり。

芋プリン
五郎金時さつまいもプリン 189円
 実際にやってみて初めてわかることも多かったんですね。

澤田 そうなんです。これまで他のコンビニエンスストアでも、単発的な「地産地消」商品はあったんですが、私はなんとしても継続的な事業として取り組まなければならないと思っています。

そこで、この実験販売の反省も踏まえて、商品開発をスムーズに進め、継続・拡大できる仕組みづくりをしようと思いました。


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