改正介護保険法が参院で可決され、ついに成立しました!その大部分は来年4月施行の予定となっています。介護予防に重点を置いた、今回の改正。ポイントはどのようなものなのでしょうか?
1・「介護予防サービス」の新設
要介護度が軽い人に、筋力トレーニングや栄養改善指導などをおこなう「新予防給付」が創設されます。新サービスでは、調理や洗濯などの生活援助(家事援助)も、これまでの単なる家事代行型から、本人の家事の見守りを含むかたちへ。あくまで心身機能の低下を防ぐことが、このサービスの目的です。
▼介護予防サービスは誰が受けられるの?
要介護認定度は、今まで「要支援」と「要介護1~5」の6段階でした。今後は、新予防給付対象の「要支援1~2」と、これまでの介護サービスの対象「要介護1~5」を合わせた7段階へ変わります。
2・ホテルコストのカット
介護施設の居住費と食費が、原則として自己負担となります。たとえば、要介護5のモデルケースでは月額3万円程度の負担増になる予定。今回の改訂のほとんどは来年度より施行されますが、ホテルコストカットについては、今年10月から早くも導入される予定。
▼支払えない場合はどうなるの?
ただし所得が低い人の場合は、負担が増えないよう、配慮してもらえるそう。具体的には、住民税世帯非課税以下に該当する利用者などを対象に、居住費・食費の負担限度額などが記載された「特定入所者認定証」を交付。これを施設側に提示すれば、負担軽減を受けることができます。
3・ケアマネジャー更新制に
ケアマネジャー資格を5年ごとの更新制に。研修を義務化するなど、サービスの質を高めます。
▼何が狙いなの?
背景にあるのは、ケアマネージャーの力量のばらつきや、業務内容の不透明性が問題視されていること。たとえば、利用者を訪問せずに安易なプランを作ったり、勤務先の事業所に便宜を図ったり、といったケースもあるようです。今回の改正は、こうした問題を解決するためのひとつの方策といえるでしょう。とはいえ、上記はあくまで一部のケアマネージャーの話。ケアマネージャーといえば、一般に「激務のわりに低賃金」とされていますが、こうした雇用環境を改善しない限り、根本的な解決はできそうにありません。
4・地域包括支援センターの創設
「地域包括支援センター」を創設。保健師や看護師らを置き、地域の総合的な相談役を担います。これまでは在宅介護支援センターがこうした役割を果たしてきましたが、ケアプラン作成などの業務に追われ、相談窓口としての機能が働いていないところも多く見られるようになっていました。
▼在宅介護支援センターはどうなるの?
在宅介護支援センターから、地域包括支援センターへ移行するものもありますが、なかには事業規模などの問題で移行できず、地域包括支援センターより業務委託を受ける形で存続を図るところも増えるかも――。
5・介護サービス事業者の情報の開示・市町村長の調査権限
介護サービス事業者に、サービス内容や施設情報の開示の義務付けをおこないます。また、市町村に介護施設への立ち入り調査権を認めるなど、地方の権限を強化します。
▼なぜ情報開示や調査が必要なの?
これまで、事業者の提供するサービス内容には不透明な部分もありました。今年春、石川県のグループホームで起こった、職員による入居高齢者の殺人事件は記憶に新しいところ。もちろん、熱心な施設も数多くありますが、なかには虐待や手薄なケアなどの問題を抱えるところも少なくなかったのです。情報が増え、利用者側に選択の自由が広がれば、これら不適切な事業者は淘汰されていくはず。また、介護報酬の不正受給などについても、行政側にしっかり監視してもらいたいですね。
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