塩分を控えても血圧は下がらない?
早朝に血圧が高いと、脳血管障害を発症する危険性が高まります。起床時・日中・寝る前に計測してみてください |
「塩分をひかえてください」
この一言です。以前にガイドメールマガジンでもご説明しましたので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、実は塩分を控えても血圧が下がるのは日本人の10~20%に過ぎないとも言われています(※)。
それなら何のために塩分を制限するのか、と思われるかもしれません。ですが、仮に塩分制限によって血圧が下がらなかったとしても、得られるメリットは大きいのです。その理由の1つは脳梗塞の予防効果です。
(※)厳格な塩分制限によって、50%の人の血圧は下がるという説もあります。ちなみに、塩分は1日1グラムであっても、生命は維持できるとされています。
塩分制限の本当の意味 脳梗塞の予防
心臓疾患の多い欧米に比べると、日本では脳梗塞を代表とする脳血管障害(脳卒中)を合併する人が多いのが特徴です。もちろん生命に直結する心臓疾患も重要です。しかし、脳血管障害は救命できたとしても、麻痺や言語障害など重度の後遺症を残すことも多いのです。特に嚥下障害を合併した場合、そのために誤嚥性肺炎などで死亡することもあるため、直接の死因(統計)に反映されない部分も大きい
のです。このような疾病特性を考えると、いかにして塩分を控えるのかが重要な課題です。実際の臨床でも、古くから用いられてきた利尿薬(塩分を体外に排出する作用)の効果も見直されています。
ここまでを理解したうえで、日常生活における塩分摂取量を考えてみましょう。
次のページでは塩分摂取の落とし穴についてご紹介します。