アトピー性皮膚炎/アトピー性皮膚炎の症状・原因・検査法

アトピーのウソ?ホント?vol.1 怪しい民間療法の見分け方

民間療法には、昔からの良いと言われた治療があります。民間療法には大きく自然療法とアトピービジネスに分かれます。アトピービジネスは決して信じてはいけません。アトピービジネスについて説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

アトピーはひどくなると日常生活に支障をきたすくらい辛い症状が出ます。そこで、患者さんの方からすれば「早く完全に治癒したい…」という気持ちは大きく、その気持ちにつけこむ商売も存在します。そのような微妙な問題を抱えるアトピーについて、医学的観点から3回連続で「アトピーのウソ?ホント?」を説明していきます。

【第1回】怪しい民間療法の見分け方
【第2回】漢方薬でアトピーは治るの?
【第3回】水でアトピーが治るの?

民間療法とは一体なに?

民間療法とは
昔から伝わっている治療は経験的に効果があるものがあります

  • 体験的なもの(例:漢方薬やハーブ)
  • 昔の言い伝えやお年寄りの知恵的なもの(例:かゆいときは冷やす)
  • 自然的なもの(例:アロマテラピーや温泉)
などがあげられ、治療に効果があるものもあります。

例えば、温泉やアロマテラピーに効果があると世間一般的には広く認知されています。

なぜアロマが効果があるというと、香りでストレスを和らげ、かゆみが落ち着くからです。また、温泉は、強酸性の源泉によるブドウ球菌に対する殺菌効果があると言われています。私もその効果を目の当たりにしており、科学的な根拠はないといえども、結果だけをみると効果があったと思われます。とは言っても、実際にエビデンス(科学的根拠)にないものは、医学的に認められないので軽々しく「効果あり」とは正直言えないのが医師としての立場です。

アトピービジネスとは、一体なに?

民間療法の中で、アトピービジネスは信じるべきでないでしょう。「アトピービジネス」という命名は、東京女子医大皮膚科川島教授と金沢大学皮膚科竹原教授が提唱され、その危険性について警告しています。

具体的には「アトピービジネス」とは何かというと、甘い言葉で治療に対する効果を実際以上、もしくは嘘を宣伝することによりアトピーに悩む人からお金を巻き上げるビジネスです。民間療法でビジネスとしてする場合、それが有効かどうかは科学的な根拠をきちんと示す必要があり、本当にアトピーの人の立場にたって治療を考えているかどうかが重要です。

アトピービジネスの簡単な見分け方

アトピービジネスでよく使用される常套句を参考までにあげてみます。
  • 「必ず治ります」「100%、○ヶ月で治ります」といった言葉→アトピーはなかなかすぐには治りません。アトピーは、学会の定義でも6ヶ月以上続く湿疹です。
  • 「全員治りました」といった使った100%近い効果を示す。使った人でよくなったなどの都合のよい体験談しか載せない。注意書きがない(個人差がありますといったコメントがないか、あっても小さく表示)→100%効果のある薬はほとんど存在しません。
  • ステロイドなどの薬の副作用を、必要以上に強調して自社の製品やサービスを宣伝する。「毒を出しているから悪くなっています」「ステロイドなどを使ったせいです」など悪化した時には、必要以上に自社製品の責任ではなく使った人の責任にする→必要以上に使用者に責任を転嫁する姿勢は、自社の製品に責任が持てないための注意書きと考えられます

もし怪しいと思ったら…

もし、おかしいと思ったら、クーリングオフ制度消費者契約法によって、契約の申し込みなどを撤回・解除できることができます。
消費者契約法など、消費者を保護する法律があります

  • クーリングオフ制度→一定の期間内であれば、申し込み又は締結した契約を理由を問わず、無条件で撤回・解除が出来る権利


  • 消費者契約法→重要な説明がなく契約した場合、契約の申し込みの取り消しや無効を主張できる権利

詳細は、こちらのリンク先アトピービジネス被害者110番をご覧になり対策するか、お近くの行政書士、司法書士、弁護士、消費者センターに相談してください。

すべては「科学的根拠」

医療機関での治療は、アトピーに何%効くかというエビデンス(科学的根拠)に基づき診療しています。ところが、アトピービジネスの宣伝は、効かない例を示しません。なぜなら、効かない例があると、売れないからです。どんなにアトピーに悩まれていても、まず治療効果はどれぐらいあったかといった正確なデータがあるかどうかを冷静に判断して、サービスを取捨選択しましょう。もしくは、医師にご相談ください。

豆知識
クーリングオフ制度:訪問販売や電話勧誘販売などで、契約の書面を受けとってから、8日以内(マルチ商法などは20日)に書面(できれば、内容証明)で出すと、契約を撤回、解除できます。
消費者契約法:平成13年に施行。消費者と事業者の間で締結された全ての契約において、消費者に誤認、錯誤(勘違い)などがあったときは契約を取り消すことができます。また、消費者の利益を一方的に害する条項は無効となります。



<参考リンク先>
日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎 治療問題委員会

はじめてのクーリングオフ(神 行政書士事務所)

クーリングオフの取扱説明書(山口行政書士事務所)

消費者契約法
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