アトピー性皮膚炎/アトピー性皮膚炎の薬・ステロイド剤

アトピーでも使える保湿剤、ワセリン

冬の乾燥を乗り切るために、肌をいたわる保湿剤は重要です。スキンケアの1つでもあり、アトピーの外用薬の1つでもある保湿剤についてご説明します。アトピーがなくてもぜひご参考にしてください。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

乾燥の季節です。前回の「アトピーでもスキーは大丈夫?」に続く冬の乾燥対策として、今回は保湿剤についてご説明しましょう。

去年ご紹介した、「アトピーの治療vol.3 スキンケア」の各論にもなりますので、あわせてご覧ください。


保湿剤の種類とは?

保湿剤を塗るのは、特に風呂上りが効果的です
大きく2つに分けることができます。
  • 皮膚からの水分喪失を防ぐ

  • 皮膚の水分を保つ

基本的には、両方の作用を併せ持っていますが、製剤によって特徴があります。


皮膚からの水分喪失を防ぐ保湿剤


皮膚の上に鎧のようにコーティングをして、水分の蒸発を防ぐ効果があります。脂質成分を含むものがほとんどで、代表的なものが、ワセリンです。ワセリンにも白色ワセリン・プロペト・サンホワイトといった種類がありますが、特に刺激性を少なくしたものがプロペトです。ワセリンが合わない人には、パラフィンを原材料とするプラスチベースが良いかもしれません。オリーブ油・椿油・ひまわり油などの植物油は、皮膚に脂質を補給することで乾燥を防ぎます。


皮膚の水分を保つ保湿剤


皮膚が水分を離さないよう、水分保持を助ける効果があります。尿素含有軟膏は、特に水分保持作用が強く、ウレパール、ケラチナミン、パスタロンが代表的なものとしてあげられます。しかし、刺激性があるため、塗るとヒリヒリすることがあります。ヒルドイドも、保湿力が高い軟膏です。


その他の保湿剤


熱傷や皮膚潰瘍に使用されるアズノール軟膏も、抗炎症作用を持つアズレンの他、ワセリンも含まれているので、保湿性があります。亜鉛華(単)軟膏は、白色軟膏と流動パラフィンを基材とする軟膏ですが、消炎作用と皮膚保護作用があります。サトウザルベは、酸化亜鉛が主体で、基材がなたね油とさらしみつろうであるため、亜鉛華軟膏より塗りやすいのが特徴です。

今回ご紹介した保湿剤は、医療機関で入手できるものですが、市販の保湿剤にもいいものはあります。例えば、セラミドです。セラミドは、角質に含まれる脂質ですが、アトピーでの皮膚の乾燥は、皮膚のセラミド不足が1つの原因です。保湿のために、セラミドを含む市販の軟膏やクリームを使うのは有効ということです。

アトピー向けの薬はたくさん出ていますが、信頼性の確かなものを選びたいですね。「怪しい民間療法の見分け方」もご参考に、信憑性にかけてしまうようなアトピービジネスには十分注意してください。


豆知識
皮膚の保湿:皮膚の保湿には角質細胞間脂質(セラミド)・皮脂・天然保湿因子が関与。セラミドは、スフィンゴ脂質・コレステロールエステル・コレステロール・脂肪酸から構成。角質細胞の間にあって、角質を保持。皮脂は性ホルモンによって分泌が左右され、皮膚からの水分蒸発を防ぐ。



<参考リンク先>

保湿クリーム選び方ガイド 乾燥肌対策!マニア厳選の一品 (All About 薬について)

アトピーの人でも使えるセラミドを薦めます。 敏感肌によい保湿成分とは? (All About 家庭の医学)

1品2役のマッサージングパック"ザ フォーム B.A"で お肌にハリ、潤い、透明感を (All About アンチエイジング)

保護・保湿はかゆみを防ぐ!

アトピー性皮膚炎のための保湿剤情報
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