糖尿病/糖尿病の食事療法の基礎知識

食品ピラミッドは未完成ですが…… アメリカ栄養ガイドライン発表!(2ページ目)

健康と生活習慣病予防の『栄養ガイドライン』が2005年1月12日に発表されました。アメリカ農務省(USDA)と厚生省(HHS)のチームによるもので、5年毎に一新して今回のものが第6版です。

執筆者:河合 勝幸

塩は小スプーン1杯(6g)未満という理想値を求めました。平均的日本人の半分以下です。米(こめ)好きの日本人には腎臓病のレベルですよ。
心臓病や脳卒中の死因がナンバー1の国ですから、ここまで踏み込むのでしょう。
ヨーロッパではイギリスのように既に6g未満になっている国があります。

塩(ナトリウム)の75%は自覚できない食品から摂取すると言われていますから、塩分の計算はとても困難です。加工食品の表示をよく読む、加工食品を控える、そしてヘルシー食を心がけることが第一歩です。

減塩ダイエットは必然的に穀類や肉料理の減少につながります。高血圧は糖尿病の合併症の原因のひとつですから、塩の摂取は先進国並みにしませんか?


『カップ』と『サービング』

アメリカの栄養指導の特長は身近にあるカップやスプーンで計量する姿勢です。
1カップは8オンスですから240ml。日本の200mlとはひと回り違います。
今まで使われていたサービング(1人前)は誤解が多いので今回からはカップ(容量)とオンス(重量)で表示されます。
従来の野菜の1サービングは、生野菜なら1カップ、煮野菜やみじん切りの場合は1/2カップでした。肉の1サービングは生で3~4オンス、調理したものが2~3オンスです。いやはや……たいへんだった!

建前と本音は?

今までのガイドラインでも『ヘルシー食』を守っていた人は8人に1人というデータがありますから、あの巨体で私たちと同じ食事というのは気が遠くなりますね。
もともと『アメリカ栄養ガイドライン』は医師や栄養士等の専門家向けのものです。すごいボリュームの詳細な数値が並んでいます。
今回はコンスーマーダイレクトの思想が入りました。読みやすいパンフレットも用意されています。

アメリカusdaの食品ピラミッド
アメリカusdaの食品ピラミッド
ところで、一般の人が利用していた『栄養ガイドライン』に基づく『食品ピラミッド』がアメリカ農務省のウェブから消えてしまいました。
同じようなピラミッドが出来るのか、まったく別のものになるのか、どこからも発表がないのです。
できれば今春には……という発言もありましたが、どうなるのでしょう。見納めになるかも知れない『ピラミッド』をもう一度ご覧ください。

日本でも『フードピラミッドによる糖尿病の食事指導マニュアル』(医歯薬出版)という本が発売されていますから、今度のガイドラインによって内容の訂正が必要になるかも知れません。

そもそも日本のこの本は、健常者のためのヘルシー食を提案したUSDAの『フード・ガイド・ピラミッド』を、そのまま糖尿病食事療法に応用したために不適切な部分があります。たとえば、『いも類』などのデンプン質野菜を『野菜グループ』に入れてしまいました。
しかし、ポテト、さつまいも、スイートコーン、かぼちゃ、グリーンピース、豆類(大豆は除く)などの高炭水化物食品は、病態栄養学では野菜ではなくて穀類の仲間に入れるものです。
食品交換表でもそうなっていますね。
もちろん、アメリカの糖尿病食事療法の『フード ピラミッド』でも『いも類』は穀類や豆類と一緒にピラミッド底辺のボリュームゾーンにきちんと入っています。
関連リンク
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます