それにしても、15歳も老け込むとは!
1型糖尿病は平均寿命が15年短いという研究があります。でもインスリン歴75年も可能なのですよ! 写真はイーライリリーのモニュメント。 |
最新の研究によると「糖尿病になることは15年の加齢」と等価なのだそうです。
糖尿病の合併症でも死に直結するのは心臓や脳などの大血管障害(以下、心・血管障害とする)です。
欧米では糖尿病の有無にかかわらず、この心・血管障害による死因がナンバーワンですが、糖尿病があるとこの高リスクカテゴリーに入ってしまうのが「糖尿病のない人と比べて15年も早い」ということが分かりました。
カナダの研究です。
気になる研究の中身とは?
悪玉コレステロールを下げるスタチンや血液凝固を抑えるアスピリンが心臓や脳の血管を守るというエビデンス(科学的根拠)がこの7~8年で増えてきました。でも糖尿病のある人が何歳になったら予防的に服薬を始めるべきかは不明でした。
今回の研究はとてもよいヒントになると思います。
Dr ギリアン ブース(Gillian Booth、臨床科学的評価研究所、トロント、オンタリオ州、カナダ)をリーダーとするチームが、糖尿病のある人が心・血管障害の高リスクになる年齢を調べて7月のThe Lancet(イギリスの権威ある医学誌)に発表しました。
オンタリオ州の900万人以上の人達の医療記録と死亡記録を1994年4月から2000年3月まで追跡調査しました。内、379,000人が糖尿病患者(2型)でした。この人達の心・血管系の治療記録を分析したのです。
新たに明らかなった傾向
2型糖尿病の男性は健常者に比べると15歳も若い時に心・血管系の高リスクカテゴリーに入ってしまうのです。実際の年齢にすると、男性が49歳、女性が56歳で高リスクになります。■ 2型糖尿病の男性
─中位のリスクカテゴリーに39歳で入る
─高リスクカテゴリーに49歳で入る
■ 2型糖尿病ではない男性
─中位のリスクカテゴリーに55歳で入る
─高リスクカテゴリーに62歳で入る
■ 2型糖尿病の女性
─中位のリスクカテゴリーに46歳で入る
─高リスクカテゴリーに56歳で入る
■ 2型糖尿病ではない女性
─中位のリスクカテゴリーに62歳で入る
─高リスクカテゴリーに69歳で入る
もっと憂うつな発見もあります。
中位リスクあるいは高リスクカテゴリーの2型糖尿病者は、同年齢の糖尿病のない人達に比べると平均余命がなんと18年も短かったのです。
昔から糖尿病者の寿命が短いのは知られていましたが、これ程ではありませんでした。
糖尿病プラス肥満が危険を倍増しているのです。なお、1型糖尿病は別の病因なので今回の調査には含まれていません。
楽しい夏休みにこんな話題でご免なさい。でも、いよいよ日本も糖尿病のある人が1,000万人を超えたと推定されています。
無理は禁物ですが、体の活動量と体重への気配りをお忘れないように。
ところで、ボクらはどうして夏ヤセしないのしょうね?これも倹約遺伝子のせいかなぁ……。
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