2型糖尿病者の死因は国によって異なります。わが国では細毛血管系の腎不全が多いのですが、アメリカでは心臓や脳卒中のような太めの血管の心・血管系疾患が80%以上です。日本もいずれそうなるかも……

『スタチン』をご存知ですか?

スタチン(Statin)と呼ばれる薬(複数)があります。ご存知の高コレステロール血症の治療薬ですが、一般にはあまり知名度が高くないのはなぜでしょうか?欧米ではスタチンといえば知らない人はいないのに。


米国で糖尿病者が
心疾患の既応症と同じ扱いを受ける理由

糖尿病は血中脂質が異常になる病気でもあります。特にアテローム(じゅく腫)性の動脈硬化が多く、知人の心臓外科医から「糖尿病者のバイパス手術は血管がボロボロでつなぎようがない」といつも脅かされています。

もともとはインスリンがうまく作用しない、いわゆる『インスリン・レジスタンス』が引き金となって、高い中性脂肪値や悪玉コレステロール(LDL)がさらに凶悪化(小型化して重くなり、血管内皮にもぐりやすくなる)、善玉コレステロール(HDL)の減少などの悪条件がエスカレートしてしまいます。

特に高くなくても、糖尿病者にはすでに危険なレベルと考えるべきなのです。
アメリカでは心臓に問題がなくても糖尿病者が心疾患の既応症と同じ扱いを受けるのは故(ゆえ)あることなのです。


『スタチン』は血管を高脂血症から守るエース!

そして先程の『スタチン』が血管を高脂血症から守るエースです。わが国の『三共』が世界に誇るメバロチン(商品名)は一般名(成分名)を『プラバスタチン』といいます。今のところ最強のリピトール(商品名)の一般名は『アトルバスタチン』で、リポバス(商品名)の一般名は『シンバスタチン』です。

もうお分かりの通り、一般名(成分名)に『スタチン』がついていますね。
この薬の正式名はHMG-CoA還元酵素阻害剤というのですが、そのもともとの名が大変なもので『3-ヒドロキシン-3-メチルグルタリル-補酵素A・還元酵素阻害剤』と言いますから、誰だって『スタチン』とひと言で呼ぶわけです。


型糖尿病の血中脂質コントロールのガイドライン

最近、アメリカ医科大学から『2型糖尿病の血中脂質コントロールのガイドライン』が発表されました。(Ann Intern Med.204;140)

それによると、血中脂質の薬物療法は心臓や脳血管の大きな発作を22%から24%も低下させるそうです。そして『スタチン』がその効果と安全性でベストチョイスになっています。『12』の大きな、糖尿病に特定したデータのある研究の分析から得られたものですから大切にしたいものです。そのガイドラインによると;

  1. 冠動脈疾患(心臓)や2型糖尿病のある人は血中脂質を下げる療法をすることで、心疾患の予防や死亡を防ぐことができる。
    ただし、糖尿病者でコレステロール値(LDLとHDL)が低い人はスタチンよりも『ジェムフィブロジル』のような中性脂肪を下げる薬が向いている。

  2. 成人の全ての2型糖尿病者と他の心疾患のリスク因子の高い人はスタチンを一次予防として用いたい。ただし、55歳未満の人にとってスタチンが予防効果があるか否かは証明されていない。

  3. 2型糖尿病者の血中脂質コントロールのスタチン投与は適量にするように。スタチンの中では特定の薦めるべき薬はない。

  4. スタチンの安全性は高いので、特別の病態でない限り、2型糖尿病者の筋肉や肝臓の常時のモニターは必要ない。
スタチンが大腸ガンのリスクを下げるという発表がありました。コレステロール以外にも薬効が期待されているのでどうぞご注目を。
*関連リンク*
  • 2型糖尿病
  • インスリン・薬物療法
  • ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
    ※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
    免責事項