米国の血圧基準値変更で正常者が激減?
米国の血圧基準値が変更されたことによる余波は日本にも来るのか…? |
悩ましい高血圧ですが、今後、血圧に関する基準値が変るかもしれません。基準値が変ってしまうと、正常な血圧の人が少数派になってしまう可能性があります。
今回は、高血圧の基準値と今後について考えてみましょう。
WHO(世界保健機構)より厳しい米国の新基準値!
高血圧を含め、生活習慣病の基準値は年々厳しくなる傾向があります。この基準値は、WHO(世界保健機構)、国際学会、米国の学会より設定されており、日本のガイドラインはこれに準じています。最近、米国で血圧に関する新たな基準値が設定されました。これは、日本がガイドラインとしているWHOよりも、もっと厳しいものとなっています。以下に米国の新ガイドラインを書き出してみました。
*** | 最高血圧 | 最低血圧 |
正常血圧 | 120未満 | 80未満 |
前高血圧症 | 120-139 | 80-89 |
治療が必要な高血圧 | 140以上 | 90以上 |
stage1 | 140-159 | 90-99 |
stage2 | 160以上 | 100以上 |
新しい分類では、正常血圧、高血圧(stage1とstage2)に加え、前高血圧症という基準が新設されました。
正常な人が少数派に…?
ここで、新しい米国の基準を日本人に当てはめると以下のようになりました。40代女性
通常、同年齢で高血圧の男女比を見ると、男性患者数の方が多い傾向にあります。また、男女共に加齢に伴い患者数が増加するという傾向もあります。これをふまえて、今回のデータを見ると……
20代以降の男性、40代以降の女性のケースで考えると、正常血圧の人が少数派となってしまいます。(同様に、高血圧以外でも生活習慣病は基準値が変わると正常者が減ってしまいます。)
前高血圧症は開業医泣かせ!
治療において、前高血圧症と高血圧に対する扱いは異なります。前高血圧症では食事、減量、運動、節酒などの生活改善指導などの予防医療が基本となります。原則として高血圧と異なり投薬はしません。推定では日本人の1/3が前高血圧症です。もし米国に準じて開業医の方が、前高血圧症の方にも生活改善指導をするとしたら、忙しい外来診療の世界は大変な事になりそうです。
日本の血圧分類のガイドラインはどうなるの?
米国の後に、欧州の血圧分類ガイドラインが発表されました。欧州のガイドラインでは、前高血圧症という考えは用いていません。(高血圧の範疇は米国と欧州では細分類は別にして同じとなっています。)それでは、日本はどうなるのでしょう?現時点ではわかっていません。今後、日本のガイドラインに何か変更があれば本サイトにてお知らせしていこうとおもいます。とはいっても、個人的には正常が少数派となる分類には抵抗があります…。
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