いろいろな予防効果の調査で、男性では効果が明らかなのに、女性では不明と報告されることが多々あります。その理由の一つに、更年期までの女性は妊娠回数、出産回数、授乳期間などの個体差が大きく、集団では捉えにくいということが挙げられます。

そんな中、「男性の場合は不明だが、女性の場合は葉酸摂取が高血圧の予防になる」という報告があります。野菜を多く摂る日本ではあまり注目されていないのですが、葉酸というビタミンは野菜に多く含まれているのです。


なぜ女性に葉酸なの?

葉酸はこんな構造をしています。
ではなぜ、葉酸の場合は女性の方が予防効果がはっきりしているのでしょうか? 例えばアメリカのサスペンスもので、こんなシーンを見ました。事件の犠牲者の女性のバッグから、葉酸サプリメントを見つけた刑事が一言。「犠牲者は妊娠していたんだ!」。葉酸は胎児にとって非常に大切なビタミンとなるということが、知られているためです。

アメリカでは妊娠可能な女性は葉酸を摂ろうという宣伝をしています。胎児(新生児)の神経系の病気である神経管閉鎖障害の予防にも役立つことが分かっているからです。摂取期間としては妊娠前から妊娠3ヶ月までの神経ができる期間が推賞されています。妊娠に気付いてからでは遅いので、妊娠できる女性全般に、葉酸サプリメントの摂取が推賞されています。葉酸摂取を心がける女性が多いので、高血圧の予防との関係性についても、男性以上に女性での調査が行き届いているわけです。


若いうちからの摂取が効果的

アメリカではNurses' Health Study[NHS:看護師健康調査]の追跡調査により、葉酸と高血圧の関係が明らかになっています。1976年に設立されたNHS Iは当時30歳から55歳の集団、1989年に設立されたNHS IIは当時25歳から42歳の集団を追跡調査しました。現在は60-85歳の集団と、42-69歳の集団になります。高血圧の発症は年齢との関係が大きいので、二つの集団では差があります。

葉酸を0.2mg/日以下の摂取と、1mg/日以上摂取の場合を比較しています。年齢が高い集団NHS Iでは、葉酸を摂っていたグループの方が、高血圧の発症が約20%減なのに対して、年齢が若くて高血圧の発症自体が少ないはずのNSH IIでは約50%も減となっています。1年間で1000人中何人が高血圧を発症する予防できるかという見方をすると、年齢の高い集団では1000人中6人減、若い集団では1000人中8人減、ということです。若い年齢から飲み始めるとより予防効果が大きい事になりますね。


葉酸サプリメントの薦め!

これまで家庭の医学では積極的にサプリメントの摂取は薦めていませんでした。しかし、葉酸に関してはサプリメントでの摂取を薦めます。その理由は葉酸の性質にあります。葉酸は水に溶けやすく、熱に弱いという性質があります。通常の調理中に失われる量が多い水溶性のビタミンですので食物から大量に取るのは困難なのです。

含有量が多いのはレバーですが、毎日レバーを食べるのは現実的ではありません。オレンジジュースから摂る事も不可能ではありませんが、1L飲んで摂取量は0.4mg程度です。ですから厚生労働省も葉酸の摂取に関してはサプリメントの利用を薦めています。


1ヶ月1000円以下の出費です!

厚生労働省の基準では葉酸は0.4mg/日の摂取が望ましく、摂取上限は1mg/日となっています。稀に「葉酸過敏症」を引き起こすこともあるため、一概に過剰摂取は勧められませんが、高血圧を予防するためには、摂取上限の1mg/日を目安に摂るのが良いでしょう。食事からの摂取量は一定とはなりませんが国民栄養調査では0.2-0.3mg/日は摂取しているとされていますので、サプリメントから摂る量としては0.8mg/日程度で良いでしょう。0.4mg/錠含有のものだと1日二粒で充分量という事になります。葉酸のサプリメントは安価なので1月1000円以下の出費で、高血圧予防ができるということです。

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