うつ病/うつ病の原因・症状・セルフチェック

Q&Aで知る心の病気…うつ病編(14ページ目)

うつ病は心の風邪と言う別名がある程、誰でも罹り得る病気であり、うつ病に関する知識はストレス社会を生きる現代人にとって不可欠!と思います。今回は、Q&A形式でうつ病に関する知識を紹介します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

答えと解説

1.うつ病でリスクが高まらないものは?

 ⇒答:(E)該当なし

気分の落ち込みをアルコールで癒す習慣がついてしまうと、アルコールに対するコントロールが効かなくなり、依存症が生じてしまう事があります。併せて、気分が落ち込んだ状態が続いていると、不規則な食事、運動量の低下が生じやすく、糖尿病のリスクも高まります。また、うつ病は免疫力を低下させるので、悪性の細胞の出現を監視している免疫系の働きが低下し、悪性腫瘍のリスクが高まるとも言われています。さらに、自殺願望はうつ病の特徴的な症状の一つであり、自殺のリスクはうつ病では絶対に見逃せないものです。

2.子供はうつ病には無縁だ

 ⇒答:(B)いいえ

うつ病は子供から高齢者まで幅広い年齢で見られます。子供のうつ病も稀なものではありません。子供のうつ病は気分の落ち込みがはっきりしない事がしばしばあり、見逃されやすいという問題があります。

3.うつ病は放っておけば治る

 ⇒答:(C)いいえ

放っておけば治るかどうかが、正常範囲の気分の落ち込みとうつ病で見られる病的気分の落ち込みの差とも言えます。うつ病を未治療のまま放っておくと、一時的に回復しても、その後、より重い症状が再発しやいのです。うつ病は放っておいても治りません。うつ病の早期発見、早期治療がうつ病の予後を大きく改善させます。

4.うつ病の人を「頑張れ」と励ますのはダメ?

 ⇒答:(A)はい

うつ病になると気分が病的に落ち込んでしまい、頑張りたくても頑張れない状態になってしまいます。「頑張れ」と言われても、心は軽くならず、かえって辛さを感じてしまうことが多いのです。気遣う気持ちを伝えるためには、相手にプレシャーをかけやすい励ましの言葉ではなく、スキンシップで愛情を伝える方が望ましいです。

5. うつ病になりやすい人は内気で口数の少ない人だ

 ⇒答:(B)いいえ

うつ病は誰でもなる可能性があります。一概に、内気で口数が少ない人が、うつ病になりやすいとは言えません。確かに、いつも明るく口数の多い人と比べると、口数が少ない人に気分の落ち込みをイメージしてしまうかもしれませんが、気分が落ち込んだ状態とは、あくまで、いつもの状態との比較なのです。

6.うつ病は気合を入れれば治る?

 ⇒答:(B)いいえ

うつ病は気合を入れたくても気合を入れられない状態であり、病院での治療が必要な病気です。うつ病になると何もする気がおきなくなります。仕事を休んで、一日中、家で横になっていたような時、他人は「怠けている、気合が足りない」と勘違いしてしまうことがありますが、気合を入れようとして治るものではないのです。

7. うつ病の時でも、抗うつ薬はすぐに気分を良くしてくれる

 ⇒答:(B)いいえ

抗うつ薬の特徴は効果に即効性がない事です。薬の効果が感じられるまで、通常1週間はかかります。しかし、即効性がないという事は、薬を飲んでもすぐ気分が良くならないので、薬に頼る気持ちが生じにくく、依存性がないという利点にもなります。

8.入学式直後、なぜか気分が冴えず不眠気味に…。1ヶ月ほどですっかり元気を取り戻したが、気分が冴えなかった時期はうつ病?

 ⇒答:(B)いいえ

うつ病と診断するためには、実は、うつの期間が最低でも2週間持続する事が必要条件であり、学校へ行けなくなるなど、日常生活に重大な支障が生じた場合に診断されます。環境の変化などをきっかけに短期的に気分に少し変調が生じることは正常の現象です。

9.身近な人がひどく落ち込んでいるような時、
一番してはいけないことは?


 ⇒答:(E)相手を非難する

うつ病のように気分が大きく落ち込んでいる時はもちろんですが、日常生活で気分が落ち込んでいる人に対しても、相手を非難するのは避けるべきです。気分が落ち込んでいる時は相手に理解してもらいたい時であり、非難するという事は相手を理解する事を拒否する行為になってしまいます。

10.気分が優れないのに、食欲と睡眠時間は普段以上に増えた。
これはうつ病ではない?


 ⇒答:(B)いいえ

うつ病には、気分が落ち込むあまり食べ物が喉を通らない、夜なかなか寝付けない、朝早く目が覚めるようになる、というイメージがあるかもしれません。しかし、うつ病にはいろいろなタイプがあります。眠気が強過ぎたり、食べ過ぎてしまう症状のものもあり、冬期の日射量の少ない時期に気分が落ち込むものもあります。

11.うつ病患者のうち、女性は男性の約○倍

 ⇒答:(C)2倍

うつ病の女性は男性の約2倍で、世界各国でほぼこのような数字が出ています。女性が男性よりうつ病になりやすい原因として、女性ホルモンの関わり、妊娠、出産など男性にはないライフイベントがあり、また、心理的な負荷がかかりやすい社会的環境などが挙げられています。

12.うつ病の引き金とならないものは?

 ⇒答:(E)該当なし

うつ病の引き金となるのは辛い経験ばかりとは限りません。引越しなどの環境の変化、職場での責任も重くなる昇進、女性ホルモンの急激な変動をもたらす出産直後など多くの事がうつ病の引き金となり得ます。

Q&Aはどうでしたか? 意外と簡単だったかもしれませんが、中には迷いやすい質問もあったかと思います。とにかく、うつ病に限らず、心の病気に関する知識は、もしもその病気になった時には治療をより効果的にするのに役立ちます。うつ病は誰でも罹り得る病気ですので、もしも、正答の少なかった人は下記のリンクなどを参考にして、うつ病の知識を増やしてみませんか。


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