うつ病/高齢者のうつ病・老年期うつ病・介護うつ

「たそがれ症候群」の真実

夕方、あたりがだんだん暗くなってくると、お年よりはなんとなくそわそわし始めます。丁寧な口調で家族に別れを告げ、出て行ってしまう人も。さて、こんなときはどうしたらいいのでしょう?

執筆者:西川 敦子


日が暮れる頃、人恋しくなるのは誰でも同じですが…

夕方、あたりがだんだん暗くなってくると、お年よりはなんとなくそわそわし始めます。「それでは、遅くなりましたからそろそろお暇いたします」などと、丁寧な口調で家族に別れを告げ、出て行ってしまう人も。さて、こんなときはどうしたらいいのでしょう?



「家に帰らせていただきます」

認知症の患者さんには、夕暮れ時になると落ち着きを失う傾向があります。家の中をうろうろと歩き回ったり、なんとなく不機嫌になったり。挙句の果てに「家へ帰らせていただきます」などと言い出すことすらあります。家事や仕事の最中に、突然そんなことを言われたら、家族としてはちょっとびっくりしてしまいますよね。

「えっ、突然何を言い出すの。ボケが進んじゃったんじゃないの」
「どこへ帰るの?おばあちゃんの家はここでしょっ!」

思わずそんな言葉が出てきてしまうかもしれません。夕方に特有なこうした症状を、「たそがれ症候群」と呼びます。それにしても、いったいなぜこんな現象が起こるのでしょうか。

犯人は「カルシウムの低下」?

原因として有力なのが「カルシウム説」。そもそも、血液中のカルシウム量は時間帯によって変化するもの。夕方から夜間は、昼間に比べ、やや低下しています。そのかわり増加するのが「副甲状腺ホルモン」という物質。骨からカルシウムを摂取し、血液中のカルシウム不足を補います。

ところが、副甲状腺ホルモンが増えすぎると、困った問題が出てきます。脳の記憶をつかさどる細胞がダメージを受けてしまうのです。こうしたことから、たそがれ症候群の発症には、副甲状腺ホルモンの亢進が関わっているのではないかといわれています。



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