うつ病/高齢者のうつ病・老年期うつ病・介護うつ

「たそがれ症候群」の真実(2ページ目)

夕方、あたりがだんだん暗くなってくると、お年よりはなんとなくそわそわし始めます。丁寧な口調で家族に別れを告げ、出て行ってしまう人も。さて、こんなときはどうしたらいいのでしょう?

執筆者:西川 敦子

正しい対応法は?

さて、話は戻りますが、いきなり「家へ帰ります」と切り出された場合、あなたはなんと答えますか?冒頭のように、
「ボケが進んじゃったんじゃないの」「おばあちゃんの家はここでしょ」
などと言いたくなる気持ちはよくわかります。しかし、頭から否定されると、お年よりは気持ちを傷つけられてしまいます。

認知症のお年よりの行動は、一見わけがわからないようでいて、じつはひとつひとつ意味を持っています。うろうろしているのは、やろうとしたことを忘れてしまうからかもしれません。「そろそろ日が暮れたわ。雨戸を閉めましょう」と立ち上がったものの「あら、何をしようとしたんだっけ」と途中でわからなくなってしまう--といった具合です。

また、認知症にかかるとまず新しいことを記憶する力から失っていきます。現在の家や家族のことを忘れてしまい、生まれ育った実家や、若い頃住んだ家のことを思い出してしまったとしても不思議はありません。だからこそ反論したり、無理に引き止めたりせず、あくまでお年よりの意志を尊重してあげることが大事なのです。

たとえば…「あら、帰るの。もう少しいいでしょう。お夕飯を食べていかない?」「もう一晩泊まっていけば。明日になったら送っていってあげますよ」といった調子です。もし時間があるときには、「それなら送りましょう」と一緒に出かけ、疲れた様子が見えたところで「今日はもう遅いですから一晩泊まっていってください」というのもよいようです。

不謹慎な言い方かもしれませんが、認知症の患者さんは少し前のことは大抵忘れてしまいます。だから、その場をなんとかやりすごせば、もう「家に帰ろう」と思ったことなど記憶から消えてしまうのです。演技派俳優になったつもりで、お年寄りの頭の中のドラマで共演してあげてください。

ただしこれは家族が夕方、家にいられる場合のこと。仕事などで外出しているときに、たそがれ症候群に陥り、ほんとうに出て行ってしまったら厄介なことになります。徘徊に発展するようなら、「もの忘れ外来」などの精神科を訪ねてみてください。カルシウム剤などを処方してもらうことで、症状を改善することができます。

また日ごろ、カルシウムたっぷりのメニューを心がけるのもいいですね。寒い季節、ホットミルクや牛乳粥などを作ってあげてはいかがでしょう。ただし、カルシウムを過剰に摂り過ぎると、かえって体に悪影響があるので、ほどほどにどうぞ。


【関連ガイドリンク集】
  • 痴呆症の基礎知識/予防/治療法 from All About 介護サイト
    • 前のページへ
    • 1
    • 2
    ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
    ※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
    免責事項

    あわせて読みたい

    あなたにオススメ

      表示について

      カテゴリー一覧

      All Aboutサービス・メディア

      All About公式SNS
      日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
      公式SNS一覧
      © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます