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コラーゲンとヒアルロン酸注入のプチ整形(2ページ目)

最近流行のプチ整形の中のコラーゲンとヒアルロン酸注入を取り上げ、安全性と効果の持続性について解説します。コラーゲンとヒアルロン酸が存在する細胞外マトリックスについて説明します。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

【ヒアルロン酸は2種類の糖の長い鎖】

ヒアルロン酸は、保湿成分として有名です。表皮もヒアルロン酸を含有しています。注入する場所の真皮では、細胞外マトリックスのプロテオグリカンの構成成分の一つです。注入した場合は、その部位で注入量の何倍もの水を保持する結果、真皮がみかけ上増加して皮膚が伸びて、しわが減る事になります。

ヒアルロン酸はグリコサミノグリカン(アミノ糖+ウロン酸)の一種です。
2種類(アセチルグルコサミン+グルクロン酸)の単糖が交互につながった長い鎖です。
構造が単純で抗原性がないので、高純度で不純物がなければ注入しても、免疫反応を起こす事はありません。
鎖というと直線的なものを考えますが、丸まっている鎖を想像して下さい。
丸まっているこの構造は、大量の水を周囲に保持する事ができます。
そのためにヒアルロン酸は、他のグリコサミノグリカンと同様に、非常に保水力が高い物質です。

プロテオグリカンは、ヒアルロン酸を心棒にコア蛋白が結合し、その周りを取り囲んでいるのは、ヒアルロン酸とは別のグリコサミノグリカンです。

【コラーゲン・ヒアルロン酸を注入した時の持続は?】

注入した場合は残念ながら効果は長期間持続しません。分解する酵素があるためですが、その酵素について説明します。

その酵素は、マトリックスメタロプロテネース(MMP)といいます。
MMPは、細胞外マトリックスを壊す一連の酵素群の総称で、20種類以上あります。コラーゲンとヒアルロン酸は細胞外マトリックスの構成成分である事は既に述べた通りです。実際、複数のMMPがコラーゲンを分解します。

ヒアルロン酸は局所で大量の水を吸収します。そのために局所が盛り上がって顔の輪郭が変わったり、しわが減少します。ヒアルロン酸は、プロテオグリカンの材料として、用いられます。その後、複数のMMPがコラーゲンと同様にプロテオグリカンを分解します。

健康な皮膚の真皮では、MMPが当然機能しているので、効果はそれほど長くは続きません。

【塗るコラーゲン・ヒアルロン酸は保湿効果だけ!】

コラーゲンもヒアルロン酸も巨大分子です。塗っても皮膚の表面に留まるだけです。保湿効果はありますが、費用対効果を考えると割高過ぎます。
保湿効果ならば以前記事に書いたセラミドをお薦めします。

【飲むのは?】

コラーゲンは、蛋白質ですので、飲むと消化液の蛋白分解酵素が分解します。分解されたヒアルロン酸は、短い糖となって、最終的にはアミノ酸として吸収されることになります。

つまり…
コラーゲン、ヒアルロン酸のどちらも真皮の細胞外マトリックスには、構造を保った形では到達しないということが言えます。
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