今回は、最近流行のプチ整形の中のコラーゲンとヒアルロン酸注入を取り上げます。
一般に、異物を注入すると免疫反応の結果、炎症が起きる可能性があります。ところが、コラーゲンとヒアルロン酸は、免疫反応の場の構成成分のお陰で、異物として認識されません。よって注入しても免疫反応は起きないので、安全性は高いです。
この免疫反応の場を「間質」と呼びます。その「間質」を構成するのが、「細胞外マトリックス」です。この「細胞外マトリックス」がコラーゲンとヒアルロン酸の受け入れ場所となるわけですが、それを分解する酵素があるために、それらの注入の効果は永続しません。
説明のための用語が多い記事となりますが、最後までおつき合いください。

【細胞外マトリックスとは】

皮膚は、上から、表皮、真皮、皮下組織の三層構造です。
その中で、コラーゲンとヒアルロン酸を注入する部位は真皮~皮下組織の部分です。そして、先ほども述べましたが、炎症が起きる場所、細胞と細胞の間を「間質」と呼びます。
真皮に、間質、血管・神経、皮膚の付属器の汗腺・脂腺・毛根があります。
この間質を構成するのが、細胞外マトリックスです。
細胞外マトリックスの構成成分は、コラーゲン・プロテオグリカン・接着性蛋白などです。

もう少し詳しく説明すると…
コラーゲン線維は、線維芽細胞が分泌する蛋白質です。
コラーゲン線維の合成には、ビタミンCが必要です。
プロテオグリカンは保水成分です。大部分が糖質、一部が蛋白質です。
ヒアルロン酸はプロテオグリカンの構成成分の一つです。
接着性蛋白は名前の通り、細胞と細胞、細胞と細胞外マトリックスを付ける糊の役割をする蛋白質です。血液中(血漿中)にも同じ蛋白質があるので血液中から、染み出ていることが分かっています。

【コラーゲン線維の構造とは?】


コラーゲンを注入するとその部分の真皮の量が増すので、皮膚が伸びることになります。結果として、しわが減ります。ではその構造をみてみましょう。

コラーゲンは、分子構造は一見複雑に見えます。よく見ると、アミノ酸の配列はグリシン-X-Y-グリシン-X-Y-グリシン-X-Y-の繰り返しの単純な構造です。X-Y-の部分は一定の傾向はありますが、厳しい制限はありません。
コラーゲンは、線維芽細胞が作る蛋白質で、細胞外に分泌する蛋白質の共通の性質であるいろいろな糖が一部のアミノ酸に付いた糖蛋白質です。
結果として、X-Y-の部分のアミノ酸の多様性と糖鎖の多様性により、コラーゲン線維は蛋白にいろいろな糖がついた極めて不均一な糖蛋白です。

注入に用いるコラーゲンはヒト由来ではなく、通常は牛由来です。
本来は、生物学的に異種なので異物として免疫系が認識するはずです。
ところがコラーゲンの場合は極めて不均一な蛋白質(糖蛋白)なので、人と牛の差以上に、元々の多様性が大きいので、異物として認識される可能性は皆無です。

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ヒアルロン酸について説明します。
注入した時の効果の持続が短い理由と、塗った場合・飲んだ場合についても簡単に説明します。