長谷川高氏に聞く2007-2008年
2007年も、師走を迎え2008年ももうすぐそこ。比較的好調だったマンションマーケットも、秋口以降低迷しています。今回は、独立系不動産コンサルタントとして幅広く活躍されており、『家を買いたくなったら』などの著書でも有名な長谷川高(はせがわ・たかし)氏に今年を振り返ったマーケット情勢や、来年以降の不動産トレンドなどを、外苑前の事務所にてインタビューさせていただきました。
長谷川高氏は、年初の予想でリート価格の下落を予想 |
東京都出身、立教大学経済学部卒。リクルートコスモスにて都市開発事業、マンション企画開発事業に関わる。その後1996年に独立し、デジタル不動産コンサルタントLTD.を設立する。日本で初めてかつ、当時唯一のネットを通じた不動産相談サイトを開設。全国の個人・法人向けに広く建築・不動産のコンサルティング業務、マンション、一戸建、ビル等の不動産調査業務、不動産投資顧問業務を行っている。不動産(調査、活用・投資アドバイス、マンション・ビル建替えコンサル)、リート(不動産投資信託)の分析・組成・コンサルを行う現役プレイヤーであり解説者。
マンション市場2007年
マイホームを購入する際の留意点を初心者にわかりやすく平易な文章で書かれている。現在7刷り、これまでに3万部売れている。WAVE出版 1,475円(税込) |
―――今年を振り返って印象的な出来事は何ですか?
6月の建築基準法改正による建築確認の遅れがマーケットに与えた影響は大きいと感じます。実際に、中高層マンションの建築確認がほとんど降りていません。分譲マンションの販売開始は、建築確認取得後になるので、販売が出来ない。ディベロッパーとしては厳しい状態が続いています。
法改正の商品企画に与える影響は、大手ディベロッパーではもともと基準が高いので大きくは影響を受けないが、ギリギリの耐震基準で企画していた企業にとっては、設計精度のハードルが上がるためマンション全体として安全性は上がるでしょう。
しかし、その影響でマーケットに出てくるタイミングが遅くなったマンションが、来年以降に市場に登場すると既に供給在庫の多いエリアなどでは、今まで以上に需給バランスが崩れる可能性はあります。
―――現在のマンションマーケットをどう見ていますか?
港区、中央区、渋谷区といった都心の人気エリアは、比較的好調のようですが、同じ都心でも湾岸エリアは売れ行きにやや翳りが出てきているようです。
一方、業者間取引でみると都心の地価のピークは過ぎている感じがしますね。転売業者による買値よりも低い価格での売買も一部出てきています。銀座などの一等地以外は、今後更なる高値の新取引は、厳しくなるかもしれませんね。
大きく上昇したマンション価格ですが、供給側の都合で上がってきている側面は否めません。ほとんどの人は住宅ローンを組んで不動産を買うわけですから上昇度合にも限界がありますから、このあたりの温度差が売行きが弱まっている要因と感じます。
これまで親の援助を受けてどうにか購入できた戸建て需要も、同様だと思います。
→次ページ以降で不動産マーケットの2008年について、お聞きします。