進化する不妊治療
このたび、オランダの厚生労働大臣(Minister of Health,Welfare&Sport)Mr.Hans Hoogervorst氏が日本に来られました。そして世界で最も症例数を誇る加藤レディースクリニックでの視察と不妊治療についての意見交換会がありましたので取材をさせて頂きました。今回はオランダの企業である日本オルガノン社のアレンジでこの企画が実現しました。視察団の皆様とジャーナリストの面々 |
今回、国の重要なVIPであるため、参加できる方も限られていましたが、なんと私もジャーナリストとして末席に加えてもらえた次第です。
最初に日本オルガノン社長のMr.Hans van Eerd氏より挨拶があり、そして加藤レディースクリニックからクリニックの概要、行っている治療とそのコンセプト、今後どのようにしていくのか?という方針とオランダに向けての提言などを約1時間にわたり、加藤院長と寺元副院長から説明がありました。
■Mr.Hans van Eerd氏のお話
日本の将来はまさにここにあります。そしてその一助として我々の薬剤があります。加藤レディースクリニックは名実共に日本一の不妊治療施設であり、ここでこのような機会を設けることが出来たのは喜びです。この場において討論、議論、意見交換をリラックスして行っていただきたい。
■加藤院長の講演
我々は21世紀の治療法として「クロミフェン ナチュラルサイクル」を推奨しています。それは少ない排卵誘発剤で2~3個の卵子を取り、それを妊娠につなげていくものです。そして現在、LHサージの代わりにHCGを活用する医療機関が多いのですが、我々は内因性のLHをフレアアップさせることにより、成績が向上しました。
オランダ厚生労働大臣 Mr.Hans Hoogervorst氏 |
我々は不妊治療において一番の問題はHCGの投与だと思っています。なぜなら本来、妊婦にしか存在しないホルモンを使うからです。よってHCGの活用により不妊治療上のデメリットが生まれます。その典型的な例が「OHSS」です。また良好胚があまり出来ないということから2~3個胚移植してしまうことにより、多胎へつながるのです。
当院では年間採卵数12000個/年 で世界一の症例数です。2004年の成績で卵子の1個戻しが80%、2個戻しが20%で多胎率は2.2%です。そして2005年はすべて1個戻しで多胎率は0.5%以下です。
日本の多胎率は16%で世界の多胎率よりも低くなっています。それは日本の症例数の25%を占める我々の成績が寄与しているものと思います。