不妊症/不妊症の基礎知識・治療法・薬

安易に不妊治療を進めてよいのですか?(2ページ目)

不妊治療を夫婦で進めていくのにきちんとお互いにコミュニケーションを取って決定していますか?

執筆者:池上 文尋

こんな実例もあります


子供ができたらすべてが解消すると思っている方が体外受精を受けて妊娠出産しその後、大変なことに結び付いているケースがあります。

私の友人Kさんもその一人です。
結婚3年目で共働き、順調な夫婦生活でしたが、ある日旦那の浮気がわかり、問い詰めると仕事ばかりしているAさんは子供も作る気もなく、家庭らしくないのが気に入らないと答えたそうです。

Kさんは子供ができたらお金も必要になるので一生懸命共働きをしてきたのに、そう言われて逆切れして、一転、子作りに意識が向き始めました。

そこで急ぐために産婦人科で診察を受けたところ、ご自身は問題がありませんでした。旦那さんを調べたら精子が少ないということで体外受精を受けることになりました。
PCO
最近、男性不妊がクローズアップされてきています!

それまでに旦那さんの精子を増やすためのサプリメントや運動などに力を入れて、3回目の体外受精にて妊娠しました。

それまでにかかった費用が200万円を超えていたそうです。一生懸命貯めてきた貯金もかなり減り、妊娠したのでまた、出産準備で費用がかかっていきました。

そして妊娠6か月の時に旦那さんから衝撃的な話を切り出されました。

「別れてくれないか」

Kさんは呆然と立ち尽くしたそうです。そして旦那さんはこういったそうです。

「浮気についてはとても悪かったと思っている。だからもう一度、夫婦というものを見つめなおして家庭を作ろうと思って、不妊治療にも積極的に行ってきた。しかし、不妊治療を通して、わかったのは子供が出来ればすべてが解決すると思っている二人の錯覚だということ。そして、なんのために結婚したのか途中で見えなくなってしまったことがわかった」
PCO
不妊治療がけんかの元になっていませんか?

そしてほどなく二人は離婚しました。Kさんはその後、出産し、母子家庭ですが、実家に戻り、仕事をしながら子育てに励んでいます。

私はこの話を聞いて、そんなにまれなケースではないと思いました。不妊治療を通して、夫婦関係がぎくしゃくするケースは後を絶ちません。だからこそ、不妊治療、妊娠、出産についてはじっくりと夫婦で話し合ってほしいし、夫婦のペースに合わせて治療も進めてほしいと思うのです。

今は高度生殖医療が発展して、ある意味、赤ちゃんが授かりやすい時代になったと思います。だからこそ、もっと体の健康、周りの状況、夫婦間の話し合いなどの環境作りに気を配り、生まれてくる赤ちゃんにとってハッピーな状態を作り出してあげて欲しいと思うのです。

関連サイト
不妊治療の中の離婚……夫婦の形を考える
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