子宮の病気/子宮がん (子宮体がん・子宮頸がん)

子宮頸がんの症状・検査・治療法

【医師が解説】若い女性にも起こる「子宮頸がん」。ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因で起こることが多く、最初は無症状ですが、進行すると不正出血や性交後の出血、血や膿が混じったおりものなどの症状が出ます。子宮頸がんの症状・検査法・治療法について簡単に解説します。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

子宮頸がんとは……性体験のある女性は誰でも可能性のあるがん

子宮頸がんの症状・検査・治療法

性交渉の経験がある女性なら誰でもなる可能性がある子宮頸がん。若年層も注意が必要です


子宮は頸部と体部の2つの部位に分けられます。ごく簡単に言うと、子宮の入り口の部分にできるのが「子宮頸がん」で、性体験のある女性なら誰でも可能性のあるがんです。

子宮頸がんは一時期は減っていたのですが、2000年ごろから再度じわじわと増えています。もともと日本人は子宮頸がんの方が圧倒的に多かったのですが、ライフスタイルの変化などに伴い、子宮体がんも増えており、現在は子宮体がんにかかる人のほうがやや多い状況です。

そして子宮体がんと子宮頸がんの違いは、できる部位だけではありません。細胞の種類も違います。子宮体がんが大抵「腺がん」といわれるものなのに対し、子宮頸がんは「扁平上皮がん」という種類のがんがメインになります。

<目次>  

子宮頸がんの原因の多くは、性交渉によって感染するHPV

子宮頸がんになる人のピークは40代ですが、20代から徐々に増え始めます。これは、子宮頸がんを引きおこす原因に、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの一種がかかわっている可能性が高いためです。HPVは主に性交渉によって感染するといわれています。

つまり、「性体験がある場合、年齢に関わらず誰でもリスクがあるがん」ということもできます。

また、頻度は低いですが、HPV以外で発生する子宮頸がんもありますので、一定の年齢以上であれば、女性がこのがんのことを気に留めておく必要があります。
 

子宮頸がんの初期は無症状? 自覚症状がないことがほとんど

子宮頸がんは、最初は自覚症状がないことがほとんど。無症状のうちに病気が進行すると
  • 生理でもないのに血が出る不正出血がある
  • 性交渉の後に出血する
  • おりものに血や膿が混じる
といった症状が出現します。
 

子宮頸がんの検査法は「細胞診」

がんを発見するためには、めん棒やブラシで子宮頸部を軽くこすって、がん細胞がいないかどうかを確かめる「細胞診」という簡単な検査を行います。痛みもないため麻酔もいらない簡単な検査です。企業の健康診断に入っていることもありますが、産婦人科であればどこでも受けることができます。1年に1回は受けるようにしましょう。また、HPVに感染しているかどうかも同様に検査で調べることができます。
 

子宮頸がんの治療法は、初期なら部分切除

細胞診では採取した細胞のいわば「顔つき」を調べます。がん細胞とは、もともとは自分の正常な細胞が、だんだん変化して悪くなってしまったものだと考えてください。つまり、正常な細胞が「いい顔つき」をしているとすると、がん細胞は非常に「悪い顔つき」になってしまっているのです。

その顔つきの変化の悪さの程度が「クラス分類」です。クラス分類は1~5までの程度に分類できます。ちなみに1が正常です。顔つきの悪さによって正常なのか、ちょっとあやしいけれどしばらく定期的に様子をみておけばいい状態なのか、子宮の表面にとどまっている「上皮内がん」なのか、深くまで進行している「浸潤がん」なのかが大体わかるわけです。

一般的な流れをご説明します。ごく初期の段階で早期発見することができれば「円錐切除術」という子宮の入り口の一部だけをとる手術が一般的です。しかし、進行すれば子宮全摘出術といって、子宮を全摘出しなくてはならない可能性が高まり、さらに進行すれば卵巣などの子宮の周りの組織も摘出する「広範子宮全摘出術」やリンパ節も取らなければならない「リンパ節郭清」の必要も出てきます。

さらに、手術ができない人に対してや、手術前や手術後の追加療法として、放射線や抗がん剤を使うこともあります。ただし、実際に放射線、抗がん剤、手術の組み合わせは個々の患者さんによって違いますので、主治医によく相談して下さい。子宮頸がんの治療についてがん情報サービスの「子宮頸がん治療」でも詳しく解説されています。

子宮頸がんは早期発見・治療すれば治癒率も非常に高く、その後の妊娠・出産も可能です。検診を受けて早期発見を目指しましょう。
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