子宮の病気/子宮筋腫

子宮筋腫の手術療法

子宮筋腫の根本的な治療は「手術」ですが、手術のやり方にも様々な方法があります。筋腫の手術について、代表的な方法について説明していきます。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

子宮筋腫の手術療法には、主に「子宮全摘術」「筋腫核出術」「子宮鏡下筋腫核出術」などがあります。それぞれの特徴について解説しましょう。
 

閉経が近い場合は「子宮全摘術」

ここまで大きくなると手術が必要です

筋腫が大きくなってしまった場合は、ケースに応じて子宮全体を摘出することも

子宮全摘術は開腹手術で子宮全体を摘出する手術。子宮全体を取るため、当然その後の妊娠は望めなくなります。そのため通常は40歳以上で今後妊娠を望まないという方のみに行う手術です。30代でお産をしたことがない方にこの手術を行うことはめったにありませんが、筋腫が無数にあって子宮を残すのが難しいケースや、子宮全体を取ってほしいという本人が希望された場合は行うこともあります。

卵巣に異常がなければ、両側の卵巣は残したまま子宮だけを取るので、子宮全摘術を行ってもホルモンのバランスは崩れません。子宮全体を取るので筋腫の再発もなく、以後子宮の病気になる心配はなくなります。

入院期間は病院によって異なりますが、開腹手術なので、大体10日前後の入院が必要。術後の回復に問題がなければ退院後1週間程度で日常生活に戻れます。


将来妊娠を望むなら「筋腫核出術」

筋腫核出術は筋腫のコブだけをくりぬいて子宮は残す手術。主に今後妊娠を希望する方に行う手術です。ただし、最近は妊娠する年齢が非常に高齢化してきているので、医学的には妊娠が難しい年齢でも子宮を残したいと希望される場合もあります。妊娠は望んでいなくても「子宮を残す」ということにこだわる方もいらっしゃるので、必ずしも妊娠することを前提とした手術とはいえなくなってきました。筋腫が大きい場合や数が複数ある場合はほとんどが開腹手術で、10日前後入院する必要があります。

もし筋腫の大きさがそれほど大きくない場合は「腹腔鏡補助下手術」を選ぶことも可能。開腹する代わりにお腹に小さな穴を開け、腹腔鏡で中を覗きながら筋腫を細かく砕き、小さな穴から取り出します。手術の傷を小さくすることができる上、入院も1週間程度で済むことが多いです。

開腹手術も腹腔鏡補助下手術でも、筋腫核出術が子宮全摘術と異なるのは、子宮が残っているために手術後も筋腫が再発するリスクがある点と、手術時の出血量が多くなりやすい点。子宮全摘術と筋腫核出術を迷っている場合は、それぞれのメリットとデメリットをしっかり把握した上で主治医とよく相談しましょう。

筋腫を取った後の子宮の壁はもろくなっていることもあるので、将来的に帝王切開が必要になることもあります。絶対に帝王切開でなければいけないのか、下からのお産、つまり経膣分娩が可能かは手術をした医師にしかわからないので、これも主治医にしっかり確認しておく必要があります。
 

粘膜下筋腫の場合は「子宮鏡下筋腫核出術」

できている子宮筋腫が子宮内に飛び出している「粘膜下筋腫」といわれるものだった場合、「子宮鏡下筋腫核出術」で治療します。これは開腹などはせず、細いカメラを膣から子宮内に入れ子宮内を覗きながら、カメラの先から出ている電気メスで筋腫のコブを削っていく方法。

開腹手術と違って傷がつかないので、入院期間も数日で済みます。ただし、筋腫の大きさが大きいと一度の手術では取り切れなかったり、すぐに再発してしまうこともあるため、何度かに分けて手術を行うことも。この手術は粘膜下筋腫以外には行えないため、全ての筋腫この方法で治療できるわけではありません。

どの術式を選ぶかは、筋腫の状態や妊娠の希望の有無などによって異なってきます。手術が必要と判断されたらどういった選択肢があるのかをきちんと自分で把握するようにしましょう。

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