子宮の病気/子宮がん (子宮体がん・子宮頸がん)

子宮体がんの初期症状・診断法…閉経前後に多い女性の病気

【産婦人科医が解説】閉経後に出血があり、生理が戻ったのではと考えるのは危険です。閉経前後に多い子宮体がんは、子宮頸がんとは違いがあります。食生活の欧米化や出産経験がない女性が増えていることなどで増加しています。子宮体がんの主な症状と子宮体がん検査、治療法、予防法について解説します。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

子宮頸がんと子宮体がん……好発年齢・原因・予防法に大きな違い

閉経後の生理・子宮体がんのリスク

閉経後に生理が戻った? 不正出血は放置せず、早めに検査を受けましょう

「子宮がん」は、がんができる場所によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられています。同じ子宮の病気と思われがちですが、この2つは単にできる場所の違いではなく、発症しやすい年齢や原因や予防法が大きく異なっているので、別の病気として考える必要があります。
 

子宮体がんの特徴……閉経後に多い女性の病気

子宮体がんは閉経後に多いのが特徴。子宮体がんは子宮のお部屋の中にできるがんで、「子宮内膜」という部分の細胞ががんになっていきます。子宮内膜は、妊娠時に着床のためのベッドとなる部分で、月経がある間は毎月ホルモンの影響を受けて分厚くなって月経として剥がれ落ちていきます。以前は子宮頸がんが主流で子宮体がんは少なかったのですが、食生活の欧米化や晩産化・未産率の上昇などのせいで、最近では子宮体がん:子宮頸がん=6:4で子宮体がんの方が多くなってきています。
 

子宮体がんの原因……女性ホルモンのバランス変化・複数のリスク要因も

好発年齢は40~50代の閉経前後。原因として一番大きく関係しているのは、女性ホルモンのバランスの変化です。卵巣から出ている2種類の女性ホルモンのうち「エストロゲン」は子宮内膜を分厚くする作用を持っていて、もう1つの「プロゲステロン」は内膜を剥がして子宮の中をお掃除する作用を持っています。この「エストロゲン」が「プロゲステロン」よりも過剰に働いてしまうと、内膜の細胞が増えすぎてがんになりやすくなるんですよ。

子宮体がんのリスクが高い人は、「妊娠・出産をしたことがない人」「多嚢胞性卵巣症候群で月経不順の人」「閉経が遅い人」「乳がんのホルモン治療を受けている人」「更年期の治療でホルモンを1種類のみ補っている人」「肥満の人」などです。
 

子宮体がんの初期症状……不正出血・生理が戻ったと考えるのは危険

子宮体がんの症状で最も多いのが「不正出血」です。特に閉経後の方で不正出血が続く場合は注意が必要ですね。他にも、おりものが増えるという症状で見つかる方もいらっしゃいます。
 

子宮体がんの早期発見・検査法

子宮体がんも、発見するには子宮体がん検診を受けるしかありません。子宮頸がんの検査と違って、子宮の奥の方まで細胞を擦り取る細い器具を入れなければいけないので、多少痛みを伴うのが難点ですが、40歳以上でリスクが高い方や不正出血がある方はきちんと検査を受けておいた方がいいでしょう。
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