見極めにくい適正価格
マンションディベロッパーの倒産が続いています。12月19日には、ダイア建設が民事再生法の適用を申請。今年の上場企業の倒産は、これで34社目。特にこの夏以降、不動産関連企業の倒産が相次いでおり、販売不振が顕著です。2005年秋以降の地価の急激な高騰と、2007年以降の工事費の上昇、2008年以降の世界的な景気後退が重なり、原価積み上げ方式で供給されたマンションが、市場の相場観と大きく乖離したことが最大の要因だと思います。売れ行き状況を踏まえると、需給関係も超過だった郊外エリアが、最初に苦戦しはじめ、続いて不動産ファンドバブルで供給が細っていた23区エリアが、再び活発化し苦戦傾向が鮮明になってきています。
不動産ファンドの破たんや業績悪化も相次いでいますが、短期転売目的のビジネスモデルでは、価格が上昇するのが大前提。信用収縮の影響もありますが、そもそも高く仕入れすぎたことも一因ではないでしょうか。
サブプライム問題が、市況悪化の主因とされていますが、サブプライムの超信用緩和があったからこそ価格が上昇したことを踏まえると、適正価格の見極めには、何らかのモノサシが必要です。
一番分かりやすい価格のモノサシは賃料!
買うが得か、賃貸が得かは、よく議論に出てきますが、経費計上できる事務所の賃料と違い、住居の賃料は、サラリーマン層は認められないので(自営業者等は、福利厚生費として一定水準の賃料の半分ぐらいは経費として認められます)、私個人の意見としては、適正価格を見極めた購入は、得だと思います。実際、統計データでも持ち家率は、経年で上昇しています。国勢調査のデータで、平成12年と平成17年の世田谷区の比較を見てみましょう。
◆国勢調査(内閣府)平成12年・平成17年の世田谷区の持ち家率比較
国勢調査データによる世田谷区の持ち家率の変化 統計局データを基にガイドが作成 |
東京都で最も人口の多い世田谷区で、わずか5年で持ち家率が10%近くも上昇しています。平成12年から平成17年にかけては、景気後退期もあり価格もダウントレンドだった時期。価格が下がるということは、対賃料に対する効用も高かった時期です。買うが得か、借りるが得かは賃料と、不動産価格に大きく起因しているようです。
全国的には、持ち家率約80%の高さを誇る富山県が有名ですが、これだけ上昇するには、税制や不動産のあり方の仕組みに起因する部分が多いと私は思ってます。
では、賃料に対してどのくらいの価格設定が妥当なのでしょうか?
次のページでは、総賃料の考え方を紹介します。