最も多い? 肺炎の病原体は
肺炎を予防するためのワクチンがあります |
肺炎球菌は肺炎の原因となる頻度が高いだけでなく、毒性が強いために重症化することのある病原体ですので、肺炎を起こす病原体の中でも特に注意が必要な細菌です。この肺炎球菌に対するワクチンが名前の通り、肺炎球菌ワクチンです。
すべての肺炎に有効ではないが……
肺炎球菌ワクチンは、肺炎の中でも肺炎球菌によって生じる肺炎を予防・軽症化する効力が期待されています。ところが、肺炎を起こすのは肺炎球菌だけではなく、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります)、クラミジア(肺炎クラミドフィラ)、黄色ブドウ球菌などのように様々です。肺炎球菌ワクチンは、こうした肺炎球菌を除く病原体に対する効果はなく、すべての肺炎を予防できるわけではないのです。しかし、COPD(慢性閉塞性肺疾患:肺気腫、慢性気管支炎)を代表とする呼吸器系の基礎疾患、あるいは心臓や腎臓に持病のある人にとっては、肺炎球菌が原因となる肺炎は致命的になることがあるため、海外では積極的に接種が行われています。
また、肺炎に対しては抗菌薬によって治療を行いますが、肺炎球菌に対する特効薬でもあったペニシリン系抗菌薬に耐性を持つ肺炎球菌が増加しており、治療にも影響が出始めているというのが現状です。できるだけ未然に防ぐに越したことはありません。
次のページでは肺炎球菌ワクチンを行う際の注意事項をご説明します。