実は更年期前の女性にとってコレステロール値は狭心症や心筋梗塞の大きな危険因子となりません。今回は、何かと話題に上りやすいコレステロールについてのお話しをさせていただきます。
日本のコレステロールの基準値が低いのはなぜ?
女性の場合、コレステロールに神経質になりすぎなくてもよさそうです |
すなわち欧米の男性の十分の1程度です。
ところが日本の基準値は欧米の基準値よりも20mg/dL低く設定されています。もし、欧米の基準を用いると高コレステロール血症の人は今の数分の1になります。
通常、検査では項目ごとに基準値を設定します。基準値の決め方には、
の二つがあります。コレステロールの基準値は目標値を設定する方法で決まっています。この目標値の根拠は、心筋梗塞などの虚血性心疾患を減らすコレステロール値です。
狭心症や心筋梗塞が少ない日本人。コレステロールの基準値が低いのはなぜでしょう?
コレステロール値の基準値に男女差がないのはなぜ?
狭心症や心筋梗塞の頻度には明らかに男女差があります。男性であること自体が危険因子となってしまいます。普通に考えると危険因子の対象疾患の頻度に男女差があるのに目標値として決めた男女の総コレステロールの基準値が同じとなってるのは奇妙な感じを受けますね。女性ホルモンは善玉コレステロールを上げます
女性ホルモンにはいわゆる善玉コレステロールのHDLを上げる作用があります。そのためにHDLコレステロール値には元々10-20mg/dLの男女差があります。
現在使っている男女が同じ基準値で判定すると、女性の場合HDLが高くて総コレステロールが高くて高コレステロール血症と判定されてしまう事があります。
HDLが高い女性の総コレステロールの基準値は男性の基準値より高く設定すべきではないでしょうか。
更年期前の女性が高コレステロールを下げる御利益はある?
コレステロールよりも禁煙、糖尿病、高血圧を気にしましょう |
女性の狭心症や心筋梗塞虚は男性と比べて少なく、更年期前の女性はさらに少ないのです。少ないものがより少なくなる結果は期待できないのでコレステロールを下げる大規模実験では55歳未満の女性は対象に入っていませんでした。
現時点では更年期前の女性のコレステロールを下げた時の医学的な御利益の有無は判っていません。
コレステロールよりも禁煙、糖尿病、高血圧
更年期前の女性はコレステロール値に一喜一憂する必要は現時点ではありません。それよりも女性の狭心症や心筋梗塞の明らかな危険因子は喫煙、糖尿病、高血圧の三つです。禁煙をまず実行しましょう。糖尿病、高血圧はどちらも加齢が危険因子となります。40才過ぎたら糖尿病や高血圧に対しての注意が必要ですね。
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