肝臓は、アルコールも含めて、小腸で吸収した物質の解毒を請け負っています。また、肝臓は血液中(血漿中)のほとんどの成分を合成しています。
飲酒した場合は、アルコールの解毒の過程で脂肪の元となる成分が増加するので、肝臓での中性脂肪の産生が増加します。つまり、長期の大量飲酒は脂肪肝の原因となります。脂肪肝を無視していると、将来、内臓脂肪の増加や生活習慣病に発展します。
【脂肪肝とは】
脂肪肝とは、通常より肝臓に脂肪が大量に蓄積した状態をいいます。ちなみに、三代珍味の一つのフォアグラは、人工的に作ったガチョウの脂肪肝です。
【脂肪肝になるのは、どんな時?】
肝臓は、産生した中性脂肪を血液中に放出していますが、中性脂肪の放出が産生に追いつかずに、肝臓に脂肪が溜まってしまった時に脂肪肝になります。
肝臓で脂肪の合成に使うのは、小腸で吸収した脂肪に加えて、糖質(でんぷん由来のブドウ糖)も、その材料にする事ができます。脂肪の摂取が増えなくても、糖質・脂質・蛋白質からの総熱量(総カロリー)が増加すれば、それに応じて、肝臓での脂肪の産生が増加します。
ところで、体内で脂肪を主に消費するのは筋肉です。筋肉は有酸素運動する時に脂肪を消費します。ということは、有酸素運動の不足は血中の脂肪を滞留させて、結果的に脂肪肝を進行させます。
【脂肪肝は生活習慣病への近道】
脂肪肝は、生活習慣病の近道へ一歩踏み出した状態です。進行しなければ、脂肪肝自体がすぐに健康上の問題になるわけではありませんが、ほっておくと、肥満(皮下脂肪増加)、高脂血症(高中性脂肪血症)、痛風(高尿酸血症)、内臓脂肪の増加、動脈硬化症、高血圧につながります。
■肥満
脂肪肝の時は肝臓の中性脂肪の合成能が増加しているので、高中性脂肪血症になりがちです。この時に、中性脂肪を皮下脂肪が取り込むと、皮下脂肪が増加した肥満になります。
■高脂血症
高脂血症(高中性脂肪血症)は筋肉での酸素消費を増加させます。結果として、酸化ストレスを増加させます。酸化ストレスの増加は抗酸化物質の尿酸を増加させるので、結果として高尿酸血症になり、痛風傾向となります。
皮下脂肪増加の次には、内臓脂肪(消化器系内臓の間の脂肪)の増加が起こります。
■内臓脂肪の増加
内臓脂肪の増加は、代謝機構が皮下脂肪と異なり、その増加自体が動脈硬化症や高血圧を招きます。
【節酒と歩いて脂肪肝の進行を止めよう!】
長期の大量飲酒は脂肪肝の原因となります。また、飲んだ分に応じて総熱量(総カロリー)が増えて、これも脂肪肝の原因となります。男性の脂肪肝の多くは飲酒習慣と関係しているのです。
飲酒が主な原因の脂肪肝の場合は、1日のアルコール摂取量を、体重1kg当たり1g以下に押さえるようにしましょう。例えば、体重60kgの人ならば、60gと言う事です。アルコールの比重は約0.8なので75mlとなります。
〈日本酒の場合!〉
一合は180mlで、日本酒のアルコール度数(含有率)は14%です。3合(3×180×0.14=約75ml)を超えると脂肪肝の進行は止まりません。
脂肪肝と言われたら日本酒だと2合以下に抑えましょう。
〈ワインの場合!〉
一本720mlでアルコールの度数は日本酒とほぼ同じです。
二人で一本、一人で瓶半分(360ml)に抑えましょう。
節酒に加えて、脂肪肝と内臓脂肪の増加を抑制するには、脂肪を消費する筋肉の有酸素運動が大切です。フォアグラにならないためには、誰でもいつでもできる有酸度運動、すなわち歩く事が大切です。
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