飲酒・アルコール/飲酒・アルコールが招く病気

お酒は体に悪いのですか?

タバコと違って、お酒は体によいといわれることもありますが、これは本当なのでしょうか。「禁酒セラピー」という本をご紹介します。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

成人の9割がお酒を飲み、女性の飲酒の機会が増えるにしたがって、最近では女性のアルコール依存症が増えているといわれます。

ところで、「禁煙セラピー」だけではなく、「禁酒セラピー」という本があるってご存知ですか?実際に禁酒するかどうかはともかく、かなり興味深いところがありましたので、今回はその内容を交えてお伝えします。


 
<CONTENTS>
 


女性はアルコール依存症になりやすいってホント?

女性のほうがアルコールに弱いのはホント
女性のほうがアルコールに弱いのはホント
女性のほうがアルコール依存症になるスピードが早いことが知られています。一般的に女性のほうが小柄なことや、女性ホルモンの影響があるとされます。ちなみにアルコールはお薬と同じく、主に肝臓で代謝されます。アルコールによって直接痛めつけられることと、栄養障害という間接的な影響で、アルコールを長期にわたり大量に摂取した方の肝臓はまず脂肪肝になり、そしてアルコール性肝炎、肝硬変という状態まで悪化します。ちなみに脂肪肝の時点ではお酒を控えればもとに戻ります。「脂肪肝」は検診で指摘されたことのある方もいらっしゃると思いますが、いわゆる「フォアグラ」状態の肝臓のことです。

そして、肝硬変とは、肝臓がきちんと働かなくなった最後の状態のことです。アルコールを1日平均120g(日本酒5合)を15年間つづけると1~2割の人が、160g(6合強)を20年間続けると約半分の人が肝硬変になります。

アルコール依存症によっておこる内臓の障害の一例である肝硬変では、女性は男性より肝硬変の発生率が高く、積算飲酒量(どれだけの量を何年飲んだかということ)が約2/3で、飲酒期間も約10年短いうちに肝硬変がおこってしまうことがあるといわれています。男性の半分から2/3位くらいの量にとどめておきましょうね。同じ量を飲んでも女性のほうが肝硬変になりやすい! 女性はホントにお酒に弱いの?

また、女性の飲酒の場合、キッチンドリンカーになりやすいといった特徴もあるようです。


月経前は酔いやすいってホント?

エストロゲンという女性ホルモンは、肝臓のアルコール代謝を遅くしますので、「エストロゲンが体内に多いとき=月経前」は「長時間体内にアルコールが残ってしまう=酔いやすい」のです。

エストロゲンは二峰性で、排卵前と月経前に多くなりますから、排卵前も酔いそうですね。ただ、排卵は自分ではわからないことも多いので、目立たないのかも知れません。ちなみに、よく月経前はプロゲステロンというホルモンが多いといわれ、その影響が目立ちますが、エストロゲンも同時に多くなっているのです。

女性で30歳すぎてからだんだん飲めるようになるヒトや、閉経後にお酒に強くなるヒトがいるようですが、体内のエストロゲンが減ることが一因とも言われています。

>>次ページでは「禁酒セラピー」という本の内容をご紹介します。「アルコールを飲んでいる人は、みんな食虫植物につかまえられたハエ!?」>>
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