喫煙者にとっては、「外に出てちょっと一服」が最高のストレス解消法だと思いますが、そんな行為もこの5月から気軽にできなくなってしまったことをご存知でしょうか?

つい先日、2003年5月1日健康増進法」という法律が施行されました。来るべき高齢化社会に備え、国民は自分の体調をしっかり管理し、健康増進に努めなければならない、また、国や地方自治体、多くの人が利用する施設の管理者などは、国民の健康増進のために積極的にバックアップしなければならない、という主旨の法律です。

この法律のなかでも特に注目されているのが「受動喫煙の防止」の内容です。具体的な条文を下記に引用してみましょう。

学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(「健康増進法」 第二節 受動喫煙の防止 第二十五条より)

受動喫煙とは、タバコを吸わない人が自分の意志に関わらずタバコの煙を吸わされることを意味します。

この法律を受け、大阪府の摂津市や兵庫県加西市などの自治体では市が管理するすべての施設を全面禁煙にしています。また、栃木県日光市では「日光市環境美化都市条例」を施行し、世界遺産や市内の自然と環境を守るため、市内全域でのタバコの吸殻のポイ捨てや文化財の周辺での歩きタバコが禁止となりました。

地方自治体の禁煙への取り組みは、2002年10月に施行された東京都千代田区の「生活環境条例」がおなじみですが、この条例によると、区が定める「路上禁煙地区」の道路上でタバコを吸うと当面2000円の過料をとられます。秋葉原、神田、御茶ノ水、水道橋、飯田橋、市ヶ谷、四ッ谷、有楽町など、人でにぎわう多くの駅周辺で規制されているので、信号待ちにちょっと一服、といった行為も気軽にできなくなってしまいました。

「健康増進法」の受動喫煙の内容で注目したいのが、公的機関や公共の施設だけでなく、民間でも多くの人が集まる施設の管理者であれば、受動喫煙の防止に協力しなければならないことです。

この法律を受け、西武、京王、東武、京成、小田急、東急、京浜急行、相模鉄道、新京成などの首都圏の私鉄が駅構内を全面禁煙にするなどの動きが現れています。

また、学校やコンサート会場、美術館やデパート、喫茶店、飲食店、ホテル、娯楽施設なども、人が集まる場所であればこの法律の対象になりますが、これらの場所で喫煙者と嫌煙者を完全に分けた喫煙コーナーを設けているところはまだまだ一部です。しかし、健康増進法の施行以降は、受動喫煙を防止するための分煙対策がとられてない施設は法律違反ということになります(ただし、罰則はありません)。

喫煙者にとってはストレスの吐きどころを探すのも一苦労、といった状況になってきましたが、吸わない人のストレスも考え、人の集まる場所では喫煙コーナー以外でのノンスモークを心がけることも大切なのではないでしょうか。


■もっと情報!関連サイト■
 ・「健康増進法」の全文はこちらにあります(PDF)
健康増進法(厚生労働省HP)
 ・どんな施設が受動喫煙防止の対象になるのかなど、くわしく知りたい方はここ
受動喫煙防止対策について(厚生労働省HP)
 ・東京都千代田区の「路上禁煙地区」マップもあります
千代田区生活環境条例(千代田区HP)

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