カラダをサビさせてしまう酸素
カラダがサビるとは、活性酸素が過剰になってしまい、酸化が進んでしまうことです
活性酸素は本来、体内に侵入した細菌やウイルスなどの敵からの攻撃からカラダを守るために白血球がつくりだす物質で、健康維持のためにも重要な役割を果たしています。しかしその一方で、反応性が高いため、一旦過剰になってひとつの細胞がサビると、その細胞は次々にまわりの細胞を酸化させてしまいます。
活性酸素により、あらゆる組織のたんぱく質や脂質、DNAなどが変性し、過酸化脂質の生成、遺伝子障害を起こし、老化やガンや生活習慣病などにつながると言われています。
以前生活習慣病は、遺伝や家系などが主な原因と言われていましたが、研究が進むにつれ、生活習慣病の90%が活性酸素が原因ということがわかってきました。
活性酸素には、スーパーオキシドラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素などの種類があります。
活性酸素と戦うのがスカベンジャー
スカベンジャー(Scavenger)とは、廃品回収業者の意味で、文字どおり身体の中で生じた廃棄物でもある活性酸素を、無害なものに変える働きをします。また、抗酸化物質ともいわれ、体内で作られる酵素と体外から摂り入れる物質の2種類があります。まず体内でつくる酵素のほうですが、活性酸素と結びついて害の少ない物質に変化させます。代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼ、グルタチオンなどがあります。スカベンジャーを体内で作る能力は、加齢とともに徐々に低下すると考えられています。
この3つの抗酸化酵素は、たんぱく質やミネラル(亜鉛、鉄、銅、セレニウム、マンガン)などを原料にしてつくられられます。この3種類の酵素がお互いが関連し合うことで「活性酸素」と戦うことができるのです。亜鉛や鉄となどのミネラルは不足しがちですから、食事ではできるだけ意識してとりたいものです。
活性酸素はどんな時に過剰発生するか
活性酸素は、私たちが呼吸し、食べ、歩き、眠る。そんな普通の生活をしていても発生します。つまり生きている限り縁は切れません。でも、特に大量に発生しやすいのは次のような場合と考えられています。- 激しい運動をした時
- 細菌やウイルスに感染した時
- 強い精神的ストレス状態にある、その状態が続いている時
- 紫外線や排気ガスなど大気汚染にさらされている
- ダイオキシン、電磁波などの環境要因
- 喫煙、肥満など
上にあげた項目は、逆に予防するための項目でもあります。できるだけストレスや環境汚染、化学物質を避ける、禁煙するなど、生活習慣をチェックしてみてくださいね。
活性酸素除去に役立つ栄養成分
体内の抗酸化酵素だけでは間に合わない場合、食物に含まれている抗酸化作用成分を摂取することが活性酸素除去に役立つのではないかと期待されています。現在様々な研究が進められ、食品に含まれるどのような抗酸化成分が役立つのか、健康への効果を明らかにするために、それぞれの抗酸化物質の機能性の解明や、評価するための測定法の開発や普及が進められていますが、具体的にどれくらいの食べ物を食べれば除去できるのか、といえる段階まではきていません。今後のさらなる研究が必要とされています。
現状で、活性酸素を退治するのではないかと期待されている成分とは、どんなものがあるのでしょうか?
五大栄養素の中では、ビタミンCやビタミンE、亜鉛やセレンなどのミネラル、そしてよく話題になるポリフェノールやカロテノイドなどのファイトケミカル(野菜に含まれる詩文や色素などの化学成分)です。
■抗酸化ビタミン
人間は、動物や植物と違い、この抗酸化ビタミンを体内で合成することができないので、普段の食事から十分に摂取する必要があります。
- ビタミンC
血液中などの水分の多い場所で強い抗酸化力を持ちます。レモン、いちごなどの果物、緑黄色野菜に多く含まれます。 - ビタミンE
脂溶性のビタミンEは、若返りのビタミンとも呼ばれています。酸化されやすい不飽和脂肪酸でできている細胞膜に存在し、その酸化を防ぎます。ごま、うなぎ、ピーナッツなどに多く含まれています。
■ミネラル
タンパク質とともにミネラルの体内でつくる3つの酵素の原料になります。
- 亜鉛
酸化されやすい細胞を守る働きがあります。加工食品などは体内から亜鉛を排出したり吸収を阻害する食品添加物を含むものがあり、現代人や子どもは亜鉛不足になりがち。意識して取りたい栄養素です。 - セレン
活性酸素を抑制する抗酸化酵素の合成に必要なミネラル。亜鉛と一緒にとるとより効果的です。イワシ丸干し、シラス干し、小麦胚芽などに多く含まれています。
■フィトケミカル
主に植物に含まれる苦み,香り、色素などの成分です。
- レスベラトロール
ブドウの果皮などに含まれるポリフェノール。抗酸化作用の他に、また長寿遺伝子の活性化や、抗糖化にも役立つのではないかと期待されています。 - カロテノイド
特に緑黄色野菜などに多く含まれ、植物などに含まれる色素成分。かぼちゃなどに含まれるβ-カロテンは、よく知られていますね。特に抗酸化力が強いのではないかと注目されているのが、トマトに多く含まれるリコピンや、鮭に含まれるアスタキサンチン、ほうれん草などに含まれるルテインなどがあります - カテキン
緑茶特有の渋味成分のポリフェノールで8種類あり、その総称です。ビタミンEよりも抗酸化作用が強いのではないかと見られています。
その他コーヒーの香りの成分であるクロロゲン酸、大豆や味噌・醤油に含まれるサポニンなど、ブロッコリーや菜花などのアブラナ科の植物のみに含まれるイソチオシアナートと呼ばれるイオウ化合物など、フィケトミカルは多彩です。
これらは、例えばビタミンEが抗酸化力を失うとビタミンCがEを再生させる、ミネラルが活性酸素を防御するための抗酸化酵素を助けて活性化させる、ポリフェノールとビタミンCをとると効果が高まるなど、お互いに協力しあいます。
話題になっているからと、特定の成分を濃縮したサプリメントなどを偏ってとるよりも、こうした栄養素や成分を複合的に含んでいる食経験の長い野菜や果物などを幅広く食べる方が効果的で、また安全と言えるでしょう。
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