サプリメントとは……
私たちが健康に生きていくには、5大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルのバランスがとれている必要があります。
「補助」というところがポイントであり、サプリメントを使うことで、病気が治ったり、魔法のような効果が発揮されたりするのを期待するのはちょっと違います。
劇的な効果をPRしたり、上手に期待させるように広告している製品や企業はかえって信頼できないと判断するのが安全でしょう。
では、サプリメントの存在意義、本当の役割とは何か?それは、私たちの体にとって絶対必要な栄養素のバランスを取り戻すことです。
現代社会の食生活の問題点
現代の日本には、様々な食品があふれています。食材の入手や調理の手間をかけずに食事を済ます方法も発達していますので、忙しい方でも毎日の食事に困ることはありません。ところが、手間をかけずに食事をするのに便利な、加工食品や手ごろな価格の外食は、栄養の面で大きな問題を抱えていることが多いのです。
加工食品の課題
加工食品は、加工される間に水で煮たり油で揚げたりされます。その際、異物の混入を避けることや、油の変色を抑えて交換の手間や費用を削減するために、「純水」や「高度に精製された油」を使用することが多いそうです。そうすると、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素のうち、水溶性のものは水に脂溶性のものは油にどんどん溶け出してしまい、残った食材は出し殻の様な状態になってしまいます。また、安価なお肉やお魚を美味しくするために、食材に注射器で調味液や脂肪を注入するインジェクションという技術の活用も進んでいます。針の束を指すことにより、柔らかくてジューシーなお肉が出来上がりますが、文字通り水増しで膨らませるわけですので、栄養価は当然低下しますね。
加工食品には添加物の問題もあります。食材の変色を防いだり、舌触りを良くしたり、保存性を高めたり、様々な機能をもつことからたくさんのリン酸化合物が添加物として使用されています。リンは人間にとって必須栄養素の一つなのですが、大量に摂取すると他のミネラルの吸収を邪魔してしまいます。ですから、リン酸化合物たっぷりの加工食品は、栄養素の摂取という観点からはマイナスということになるわけです。
手ごろな外食の問題点
加工食品や手ごろな外食が中心の食生活は、5大栄養素のバランスが大きく崩れがちです。
おそらく、こうした食べ物を提供している加工食品メーカーや外食店も、わざわざ栄養価を落とそうと考えているわけでは無く、「手ごろな価格で」「見栄えが良くて」「日持ちがして」「美味しい」食べ物を提供しようと努力しているのだと思います。ところが、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が、加工の過程で簡単に減ってしまうことについては、知らなかったのか目をつぶって来てしまったのでしょう。
栄養バランスを取り戻すために
こうした現実を踏まえて私たちが栄養バランスを取り戻すために行うべきなのは、「加工食品を食べる機会を減らし、旬の食材を自分で調理する機会を増やす」ことです。いきなり「加工食品は一切ダメ」と言ってしまうと、生活が成り立たない場合もあるでしょうから「できる範囲から」から良い方向に進めて行ってください。旬の食材を見直しましょう
サプリメントメーカーや、販売店の方による「今の野菜は、昔に比べて栄養価が激減しているから食べても無駄。だから、当社のサプリメントをどうぞ」というコメントを良く見聞きしますが、これも真実ではありません。実は、昔と今では栄養成分の測定方法が異なるため、数値が違うのは当たり前なのです。また、昔と違って現代では野菜が旬とは無関係に流通しています。季節外れの野菜は栄養価が低いため、市場の野菜の栄養価の平均値を押し下げてしまっているのです。実際のところ、新鮮な旬の野菜の栄養価は昔の野菜に大きく見劣りするわけではありません。是非、八百屋さんと仲良くなって旬の野菜を購入する機会を増やしてみてください。
サプリメントとの正しい付き合い方
上手に使えば、サプリメントは現代人にとって便利なツールです。
とはいえ、忙しい日々の中で食生活の改善がなかなか難しい場合や、体調の悪化が著しくて早急に回復したい場合もあるでしょう。サプリメントは、そうした状況において心強い味方になってくれます。理想的な食生活を実践するのが難しい場合に緊急避難のツールとしてお使いになるのが正しい付き合い方です。
サプリメントで急場をしのいで、体調を回復させながら、生活スタイルを体に優しい方向に整えていく……そんなやり方でサプリメントと上手に付き合って頂ければ良いなと思います。