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日本の野菜は味も栄養価も減っている?!(2ページ目)

今の野菜は、栄養価が減っていると言われます。ということは栄養を十分とっているつもりでも、案外不足しているのかも? 今回は、そんな野菜事情についてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

旬のものを食べるのは健康によい

露地物のトマトは、おいしく、また栄養価も高く、環境への負荷も少ないのです。一番大切なことは、食材の「旬」の時期に食べることです。食べ物の旬とは、最も多く収穫でき、味がよく栄養価が高い時期をさします。ただし、旬よりも先駆けの「はしり」や、旬が過ぎてからの「名残り」という表現もありますが、これらは昔は手に入りにくかったため、贅沢な食材という位置づけにあったようです。

日本列島は、南北にのびて季節の変化が南から北へ移動していくため、食材の旬も少しずつ異なりますが、現在のように流通システムが発達することで、食材はどこでも作られている地方から運ぶことができ、また栽培技術や品種改良も加わり、1年中トマトが揃うというような状況になっています。

社団法人全国野菜需給調整機構では、「旬の食材」とは、「消費者が住んでいるそれぞれの地域の自然の中で、適期に適地で無理なく、食べごろに生産されたものであり、新鮮で、栄養分があって、安全で、美味しいもの」と示しています。

旬の食材は、なぜカラダによいと言えるのでしょうか。四季のある日本では、折々に旬の食べ物があり、私たちのカラダが健やかに営む手助けをしてくれています。それについて詳しくは、こちらをお読みください

輸入ものより国産のものが栄養価は高い

現在日本では、海外からも輸入食品が多く入ってきます。国産の野菜の方が価格としては高いのですが、栄養価の面でも高いと言えます。静岡県のサイトによりますと、ホウレンソウのビタミンCを例にとると、収穫した日から3日後には約70%に、7日後には55%まで減少してしまいます。国内産では1日~3日ほどで店頭に並ぶのに比べて、輸入野菜は税関の検査などに時間を要し、1週間ほどはかかり、栄養価が減ってしまいます。

もちろん現在は冷蔵・冷凍技術、温度管理も進んではいるのですが、できるだけ私たちが暮らす地域に近いところの野菜を食べる事は、栄養価の損失も少ないのです。

また「京野菜」などの地場で作られている伝統野菜は、市場に多く流通している野菜に比べて栄養価やその他の成分も多い事が分かっています。詳しくは、こちらから。

伝統野菜は、地域の風土に適したものが育ち、またその地域に暮らす人にふさわしい栄養を与えてくれます。輸入食品が増えたおかげで、安価な食材が豊富に揃うのですが、国によっては農薬の基準が異なる場合もあり、なかなか目が行き届かず安全性を確認しにくいなど、リスクも高くなります。スーパーでも生産者の顔や名前を出し、農薬や除草剤はどのように使ったのか、などの生産履歴を明らかにしている商品が増えています。こうした情報をきちんと確かめて、自分なりに納得できるものを選びたいものです。

環境に負荷をかけないものを選ぶ意識も

最近では、季節外れの野菜の栄養価を高める栽培法も研究が進んでいて、農家さんの努力で味もよいものもたくさんあるのですが、ただ栄養素や成分が満たされていればよいというわけではないと思います。季節はずれの野菜を育てるためには、温度管理をするためにエネルギーが必要となります。

例えば、トマト1kgをつくるのに、露地栽培と、ハウス栽培では、生産エネルギーに換算すると10倍にもなるのです(高知県サイトより)。野菜本来の育つべき時期に育てれば、エネルギーや肥料・農薬などを必要以上に使わずにすみます。

また輸入食品は、輸送のためにエネルギーを使うことになり、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量も増えます。

旬を待ちこがれるからおいしい

流通や生産者も、高齢化、後継者不足の問題を抱えながら効率を求めると、年間を通じて同じ品目を安定して供給できる方法を選択することになりがちなのでしょう。また今の生産者の方たちは、自分で値段を決められないので、たいへんな労働の割には利益が少なく苦労されている話しも聞きます。できるだけ付加価値の高い野菜を作りたいという思いも、私たち消費者は知っておきたいと思います。

こうした生産・流通の技術発展のおかげで、私たちは、安くいつでも食べ物が手に入るのですから。私たち消費者は、いつでも何でも揃う事を求めすぎてきたのではないでしょうか。

食べ物がいつでも揃うことは有り難いことですが、旬を待ちこがれる楽しみは失われてしまいました。「待つ」ことは、美味しくいただくための最高の調味料、そして高い栄養価を得るためにも、必要なことではないでしょうか。

絶対に旬からずれたものを食べてはいけないということではなく、たまには御馳走としていただくのもよいでしょう。まずはできるだけ身近な地域の、旬の食材を選ぶという意識をもつこと。一人ひとりの消費行動の積み重ねで、「旬」を改めて引き寄せることができるかもしれません。

参考サイト
旬と産地をチェック(ECCJ省エネルギーセンター)

■関連リンク
旬の食べ物は健康のもと(食と健康)
伝統野菜の健康成分に注目(食と健康)


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満願寺ししとう
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