文章:光原 ゆき(前任ガイド)
新茶の時期でもある今回は、お茶がもつ健康パワーをご紹介します。普段、何気なく飲んでいるお茶も、種類によってさまざまな力を発揮するヘルシードリンクなのです。みなさんは、お茶のことをどのくらい知っていますか?お茶は同じ植物の葉からできている
これからいろんなお茶に変身していく |
まずは、お茶の種類のお話です。ひとくちにお茶といってもいろんな種類がありますが、ハーブティーなど一部を除いて、多くが同じ植物の葉で作られているのはご存じでしょうか。さまざまな品種がありますが、どれも同じツバキ科の「茶」という植物の葉からできたもので、その加工方法でお茶の種類が変わります。
<発酵の過程による種類の違い>
発酵?紅茶
半発酵?烏龍茶など多くの中国茶
不発酵?日本茶
お茶の発酵とは、茶葉自身が持つ酵素の力で香りや味の成分を作り出す“酸化”のことで、酒や味噌のように微生物を働かせる発酵とは違います。酸化することで、お茶の香りや味の成分を作り出します。発酵させない日本茶は、収穫時期や、蒸す、揉むなどの工程によって、煎茶、玉露、ほうじ茶といった種類に分かれるのです。
こんなにある、お茶の健康効果
「お茶どころにはがん患者が少ない」という説があるほど、日本茶は健康によい飲み物として、昔から愛飲されてきました。近年、病気予防や健康維持に関する研究成果が発表され、その効果について世界中から注目が集まっています。とはいえ、日本茶は水溶性の栄養成分の約80%が、1杯目に流れ出てしまいます。もちろん、2杯目以降も美味しくいただけますし、お茶殻にもたくさんの栄養素が含まれていますので、余すことなく摂取しましょう。
<日本茶の代表的な成分とその効果>
■カテキン類(水溶性成分)
・抗酸化作用
・等質の分解を防ぎ、ブドウ糖としての吸収を抑える
・コレラ菌やO-157など食中毒菌に対する、強い殺菌力
・腸内の悪玉菌の退治し、善玉菌を増やす
・悪玉コレステロール(LDL)の上昇を抑える
・虫歯菌の繁殖を抑え、虫歯や口臭を防ぐ
・「べにふうき」という品種に多く含まれるメチル化カテキンが、花粉症のアレルギー症状緩和に効果的
■カフェイン(水溶性成分)
・疲労回復、覚醒効果、利尿作用
・脂肪燃焼を促進、二日酔いの酔い覚まし効果
・強心作用で、血行促進
■テアニン(水溶性成分)
・カフェインの作用を穏やかにする
・脳の神経細胞に作用し、リラックス効果
■ビタミンC(水溶性成分)
・抗酸化作用、免疫力向上、疲労回復、風邪予防
・お茶に含まれるビタミンCはカテキンが守るので、熱に強く、壊れにくい
■フッ素(水溶性成分)
・歯の表面を強くし、虫歯への抵抗力をつける
■ミネラル(水溶性成分)
・新陳代謝が円滑に行われるために必要な栄養素
・塩分排出に効果的なカリウムのほか、カルシウム、マグネシウム、鉄などが豊富
■サポニン(水溶性成分)
・朝鮮人参など漢方薬の主成分として知られる成分
・インシュリン作用、抗疲労作用、精力増強作用、血栓予防作用など
■その他(不溶性成分)
・β-カロテン、ビタミンE、葉緑素、たんぱく質、食物繊維など
次のページでは、生活シーンや気分に合わせたお茶の楽しみ方をご紹介します。