古来より延命長寿の花として知られる菊は、観賞用の花としてはもちろん食用、薬用など利用範囲の広い植物です。最近では、科学的にもその作用と成分などが明らかになってきました。

延命長寿の花「菊」

食用菊
食用菊。生のまま花びらをお酒や汁物に浮かべたり、料理に使う場合は、酢を少量落とした熱湯で茹でてから使います。
古くから中国では、延命長寿の薬として、菊茶や、菊花酒(重陽の節句の行事食)として飲まれますし、漢方の生薬としても使われます。

中国から日本に伝わると、「重陽の節句」に菊花酒が飲まれたり、平安時代には「菊の着せ綿」という菊に綿をのせて香りを移したものを着物に使い、老いを払って若返るという優雅な風習がありました。今でも生菓子などに「着せ綿」というご銘のお菓子が見ることができます。

菊花の成分に、解毒作用があると解明

こうした菊の効能は、いわばただの言い伝えや行事食、おまじないと思われてしまいがちですが、最近では菊に含まれる成分がどのように働くのかが科学的に明らかになりつつあります。

株式会社ポーラのサイトによると、菊花中の成分が、生体内の解毒物質であるグルタチオンの産生を高めることを発見したと報告しています。簡単に抜粋してご紹介しますと、

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生体の解毒には体内の種々酵素群が関与していますが、菊花の解毒作用の詳細についてはいまだ明らかになっておりません。そこで今回、菊花の解毒作用を解明するために、菊花エキスがヒトの細胞中の生体内解毒物質のひとつであるグルタチオン量を増やすかどうかを調べました。

その結果、菊花には 細胞内グルタチオンの産生を高める作用があることを発見しました。また、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・波多野力教授との共同研究により、菊花中の有効成分がテトラクマロイルスペルミンという化合物であることをつきとめました。


グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸が結合したトリペプチド。細胞内の抗酸化作用、毒物・薬物・伝達物質等を細胞外に排出する、いわば解毒作用などの働きがあると言われています。

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この研究により、

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菊花は生体内のグルタチオンの産生を高めることによって、解毒作用をもたらしていると考えられること。

この研究では、中国・桂林市産菊花、日本市場品薬用菊花、食用菊のグルタチオン産生促進作用を測定したところ、中国・桂林市産菊花に最も高い作用があること、桂林市産菊花にはテトラクマロイルスペルミンが多く含まれていることがわかった。



ここでいう菊花は、薬用に用いられる菊を「菊花」といい、頭花が小さく乾燥した状態で用いられます。一般的に、食用のものは花弁を大きく苦味を少なく改良されたもの、観賞用のものは頭花を大きく改良されたもので、「菊花」とは異なる種類の菊です。

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ことなども記載されています。

詳しくは、ポーラ研究所のpdfをご覧ください。

菊花の有効成分は、フラボノイドなどのファイトケミカルなどだと思われますが、他の栄養素については、食用菊の成分を見ると、ビタミンやミネラルが他の栄養素と比較して多く含まれています。特に抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンC、葉酸などのビタミンB群などが含まれています。

種類 β-カロテン ビタミンC ナイアシン 葉酸
菊花(生) 67 11 0.5 73
菊花(茹で) 61 5 0.2 40
菊のり 180 10 3.8 370