昔は貴重なきのこでも、今では栽培され手軽に手に入るまいたけ
古くから美味が知られるきのこ
まいたけは、ブナ科の根元に発生するキノコ。天然まいたけは、江戸時代に編纂された食物書『本朝食鑑』や、薬用植物・農産物などをまとめた『大和本草』といった文献に登場しているそうです。しいたけ同様に栽培もされていたのではないかと考えられていますが、今ほど簡単に手に入るものではありませんでした。
古くは「幻のきのこ」として珍しく、見つけると踊るほど喜ぶことから、あるいは、カサが幾重にも重なりあった様子が舞うような姿なので、「舞茸」と名付けられたのではないかと考えられています。
ビタミンB群は、キノコの中でも豊富
まいたけには、エネルギー源の糖質やタンパク質、脂質などの栄養素を代謝するビタミンB1やビタミンB2、ナイアシンなどのビタミンB群や、カルシウムやマグネシウムの吸収を促すビタミンDが豊富に含まれています。実はビタミンDは総称で、主に植物由来のビタミンD2と、動物由来のビタミンD3があります。まいたけの他にもきのこには、ビタミンD2の前の段階のものとしてのエルゴステロールが多く含まれているのです。このエルゴステロールは紫外線を浴びるとビタミンD2に変わります。
今後の研究が期待される成分は、多糖類
きのこ全般にいえることは食物繊維が多く、特に近年はβ-グルカンという多糖類の機能性が注目されています。β-グルカンには種類があり、食品によって含まれる種類が異なりますが、まいたけにもβ-グルカンが多く含まれています。β-グルカンは、降血糖作用や、免疫機能を高めてガンやアレルギー予防などに役立つのではないかと注目されています。また2012年9月には、富山大大学院の研究グループ(雪国まいたけとの共同研究)が、まいたけから抽出した「α‐グルカン」が、免疫力を高め、インフルエンザ治療に効果があるという研究成果を発表しました(日本生薬学会)。他にも、まいたけエキス抽出後の成分が、血中コレステロール濃度を減少させ、血中中性脂肪濃度の上昇を抑制した(動物実験)など、様々な研究報告があります。
しかし、まだヒトレベルでの可能性については検証が必要な段階とされています。またこうした報告は、特定の抽出成分などを用いており、食べものとして食べた場合に、その効果や必要な量などについては明確ではありませんので、過剰な期待はしないようにしましょう。