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黒ベリーに抗ウイルス作用
「日経health(2005.1/20号)」によると、福島県立医科大学微生物学の錫谷達夫教授の研究で、中国に群生する野生種のカシス(黒加倫)、ブルーベリー、クランベリー、エルダーベリーなどのベリー類の果汁に抗ウイルス作用があったと報告されました。黒いベリー類に多く含まれるポリフェノールに抗ウイルス作用があるのではないかと錫谷教授は見ています。ブルーベリーやカシスは、その色素成分であるアントシアニンが眼精疲労の改善に働くこと、またクランベリーは尿路感染症予防などに効果があることが知られています。
実験では、培養細胞にベリー果汁をそそぎ、カゼの原因であるアデノウイルス、同じくRSウイルス、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスの4種類に振りかけて、10分間放置しました。その後、果汁を洗い流して細胞を3~5日間培養し、ウイルスに感染した細胞の数を調べたということです。なぜ10分放置するかというと、アメやトローチなどに応用できないかと考え、アメ1個をなめるのに5~10分かかるためだそうです。
細胞はウイルスに感染して死ぬと培地に穴があくので、この穴の数を数えて死んだ細胞の数とし、実験結果を基に、果汁を注いだ場合のウイルスの数が、果汁を注がなかった培地のウイルス数の半分になる果汁の希釈倍数を算出しました。
*100倍希釈は濃縮還元果汁1%濃度に当たる。希釈倍数が大きくなるほど成分が薄くても効果があることを示す。
錫谷教授によると、「1%という濃度は、アメなどに入れて製品化するときにも、無理なく配合できる」と指摘しています。
ベリー類のポリフェノールがウイルスをブロック
錫谷教授は、ベリー類のポリフェノールが、風邪のウイルス表面を覆い、ウイルスが細胞に直接触れられないようにブロックしているのではないかと見ており、アメやトローチなどに黒いベリー類の果汁を有効分量入れておけば、なめている間に、ポリフェノールがウイルスの活性を阻害する可能性が期待できると考えています。
「人間での臨床試験は行っていないので確証はないが、カゼなどの予防効果に加え、感染してから摂取して、悪化を抑えることも期待できそう」と話しています。
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