食と健康/生活習慣病を防ぐ食事・レシピ

塩分は本当に高血圧に影響する?(2ページ目)

ミネラル豊富な自然塩がブームです。外食産業でも塩味メニューが人気沸騰中。でも塩と言えば、高血圧が心配で減塩している人も多いのでは? 近年、塩分と血圧の関係について新説が出ています。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

◆食塩と高血圧の関係◆

このように人気沸騰の自然塩ですが、塩といえば高血圧との関係が気になる方もおられるのではないでしょうか?

人間と海水のミネラルバランスは、ほとんど同じです。人間にとって、生命活動を維持する上で水が必要なのと同じように、塩分つまりナトリウムも必要な成分です。ただ、私たちが日常食べている食事では、ナトリウム不足になることはほとんどありません。

1970年代、日本人の死因第1位は脳疾患でした。当時の疫学調査により、食塩の摂取量が1日5gに満たない集団では高血圧の頻度が低く、25gを超えると頻度が高くなるという結果が出たため、以来今日まで「1日の塩分摂取は10g以下に」という減塩指導がされるようになったのです。

ところが東京大学医学部の藤田敏郎教授の研究(1995年)によると、人間には、食塩をとると血圧が上がり減塩すると血圧が下がる(食塩感受性)人と、食塩をとっても血圧が上がらず減塩しても血圧が下がらない(食塩非感受性)人がいるのです。日本人の本態性高血圧患者では、およそ4割が食塩感受性、6割が食塩非感受性なのだそうです。

この2つのタイプの違いは、主として腎臓のナトリウム排せつ機能と関係しているそうです。食塩感受性が生じる原因は、主に遺伝・年齢、性、肥満度、腎臓病の有無、糖尿病の合併、ストレスも影響するといわれます。

ということは、高血圧の治療には、減塩をする必要がある人と、必要ない人とを区別しなければならないと思います。高血圧とはいえ、食塩非感受性の人が減塩しても効果がないわけで、極端に減塩をすることにより日々の生活の中でナトリウムが不足し、食欲不振や筋力の低下、無気力状態になる場合があります。高血圧が気になる方は、食塩感受性か食塩非感受性かをチェックしたいところです。私もいろいろな文献を見ましたが、チェック方法についての記述が見当たりません。また今後も調べて、分かればご報告します。

食塩非感受性であっても、絶対にその性質が変化しないとは言い切れないらしいので、当たり前のことではありますが、やたら食べ物にお醤油や塩をふりかけるような塩分の過剰摂取はしないようにしましょう。何ごともほどほどに、が健康の基本です。

■関連リンク
塩分の過剰摂取が健康寿命を削る!(食と健康)
高血圧を防ぐDASH食って?(食と健康)

「みそと血圧抑制効果」
(タケヤみそ)
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