会社選びとは「素の自分」と「素の会社」のマッチング
会社の決め方の基本はまず徹底的に調べること
これには大きな3つの課題が横たわる。
- 「素の自分」を理解できているか
本当に自分がやりたいこと・できること・すべきことを理解できているか、そして言葉にできているか。 - 「素の会社」を理解できているか
これから受験する会社の、本当の姿(仕事内容や社内の雰囲気、仕事のやりがいなど)を理解できているか、そして説明できるか。 - 「素の自分」と「素の会社」を結びつけて考えているか
本当の自分を、これから受験する会社の現実の中で、輝くイメージを作ることができているか、そして説明できるか。
この課題をクリアしなければ、きっと納得できる就職活動はできない。自分を評価してくれる企業を見出さなければ、きっと内定が取れないし、仮に内定が取れても肌に合わなくて早期退職してしまうだろう。よってこの3つの課題をいつも念頭に置いて、就職活動をしなくてはならない。言い換えれば、この課題は就職活動をしながら、いつも修正・改善をした上でしか、解決しない課題なのだ。
会社の選び方のプロセス:「素の自分」を知る
素の自分を正しく理解しなければ、自分が輝く企業は見つからない
- やりたいことを探し尽くしたか?
何がやりたいかという究極の課題について、本当にやりたいことを探し尽くしたのだろうか。よく学生が陥る失敗は、業界や仕事でやりたいことを探してしまうことだ。
例えば、旅行が好きなら、旅行会社をついつい選んでしまうが、旅行を売ることが本当にやりたいことなのだろうか。テレビが好きなら、テレビ局がベストなのだろうか。つまり、消費者の視点で仕事を探すのではなく、従業員の立場で、その仕事が自分にとって本当にやりたいのかを考えながら、探さなくてはならない。 - できることを言葉にし尽くしたか?
君には必ず長所があるはず。もちろん他人と比べてではなく、自分にとってきっとこれが得意だと思っていることだ。その長所を言葉にし尽くせているだろうか。
星の数ほど企業があるが、君のその長所を本当に必要としている企業はぐっと数は減るはずだ。その企業を見出すためにも、自分の長所を言葉にし尽くさせなければ、その企業を見つけることはできない。 - 仕事への価値観を言葉にできるか?
なぜその仕事をするのか。もちろん、生きていくために収入を得るためだが、それだけなら企業選びの視点は給料だけになってしまう。よって、その仕事を通して、社会に何を伝えていきたいのかという価値観が重要になる。言い換えれば、少々辛くても頑張れる理由だ。それは消費者に夢を与えたいからなのか、消費者の生活を便利にしたいからなのか、エンターテインメントを提供したいからなのか、といった価値観を言葉にすることが大切だ。
会社の選び方のプロセス:「素の会社」を知る
素の会社を正しく理解しなければ、その企業で自分が輝けるか判断できない
- 仕事内容を正しく理解しているのか?
学生は意外に仕事内容を正しく理解できていないことが多い。当然ながら、仕事内容を正しく理解せずに、自分に合う仕事を探すことはできない。
例えばシステムエンジニア。職名だけを見れば、技術系の仕事で文系の学生には縁遠いと思われがちだが、現実は違う。実際には、システムの設計から導入後のサポートまで行う仕事であり、お客さまのニーズの把握から提案し、チームでのシステム設計、プログラミング、納品、システム導入後のサポート(プログラムの改善や保守など)、そしてこの工程すべてをマネジメントする役割もある。つまり、かなり文系寄りの仕事なのだ(プログラミングは入社してから学べばよい)。
先入観だけで排除してしまっては、自分の将来への可能性に蓋をしてしまうことになることを知ろう。 - その仕事に求める力はなぜ必要かを正しく理解しているか?
求人広告にはコミュニケーション力やリーダーシップ、挑戦力、自己管理力など、さまざまな「求める力」が掲載されている。しかし、なぜその力が必要なのかは、詳しく書かれていない。その理由を勝手に予想してしまうことで、ミスマッチを起こす危険がある。
例えば、なぜコミュニケーション力が必要なのだろうか。それは具体的にどんな仕事の場面で必要となるのだろうか。その文脈(コンテキスト)を説明できるまで理解できなければ、自分の長所を活かせる仕事は選べないことを知ろう。 - その企業の社員が働く価値観を正しく理解しているのか?
社員が働く理由は、給料だけではない。例えばスターバックス・コーヒー・ジャパンの従業員は、人々の心を豊かで活力のあるものするために、緑のエプロン姿で頑張っている。バンダイの従業員は、世界中の人々に夢と感動を与えるために、玩具をはじめとしたあらゆる商品・サービスを生み出そうと奮闘している。決してコーヒーが好きだから、玩具が好きだから仕事をしているのではない。しっかり経営理念や社長メッセージなどを読み込んで、その従業員が働く価値観を共有できるかをチェックしなければならない。
会社の選び方のプロセス:「素の自分」と「素の会社」を繋ぐ
自分に合うか合わないかは、インターンシップなどでやってみるのが一番
それは机上ではできない。実際に素の自分を素の会社にぶつけるしかない。つまり、アルバイトやインターンシップに挑戦したり、OB・OG訪問を試みるしかない。しかし就職活動が始まってしまえば、企業説明会に参加することが最も効率のよい方法となる。
じっくり「自己分析」と「業界・企業研究」を行った上で、「会社説明会」で詳しく述べた通り、現場で質問をするなどして、何度も本当の自分と、本当の企業を照らし合わせることが肝要となる。その作業を何度も繰り返すことで、自らが輝く企業がどこかが、きっと見えてくるはずだ。
もちろん、吟味する企業の数は可能な限り多ければ多いほどよい。しかし、準備不足で企業説明会に参加してもその企業の素の姿は見えてこないので注意しよう。とても手間がかかる作業だが、この努力の積み重ねの先に結果がついてくることを意識しよう。
会社の選び方~秘訣~
笑顔で生き生きと働ける企業はどこか、最後まで徹底的に探そう
- 変わることを恐れない
昨日まで第一志望だった企業より、入りたくなる企業が見つかって当たり前。志望順位は日々変わることを受け入れよう。 - 機会があったら必ず拾う
今まで興味がなかった企業、聞いたことがない企業ほど、話を聞いてみたら意外によかったりするものだ。時間ができたら、機会があったら、必ず行動する癖をつけよう。 - 企業に合わせない
自分を押し殺してまで企業に合わせて内定を取っても、すぐに辞めるだけだ。しかし、自分を押し通すだけでは内定は取れない。伝え方や考え方を変えてみることを忘れてはならない。 - 親や先生、友人に相談する
就職のことは自分の問題だと抱えないこと。親身になってくれる人のアドバイスは至高の価値がある。特に親とのコミュニケーションは、晩御飯のたびにでもしておく方がいい(1人暮らしならたまには電話やメールで)。なぜならば、内定を取ってから反対されても困るからだ。 - アドバイスを聞き入れる
知り合いの社会人、特に就職課(キャリアセンター)からのアドバイスを聞き入れる努力をしよう。企業の人事は他人だ。それほど親しくない他人からの客観的なアドバイスには、一考の価値がある。 - 足を止めない
つらくて休憩したくなることもあるだろう。しかし、就職活動は時間とともにチャンスも減っていく。長い人生の中で転職活動を除けば、自分の将来のために具体的に時間を費やすことはないのだ。だからこそ、ここは最後まで駆け抜けるべきだ。休憩は、内定取ってから思う存分取ろう。 - 決断は徹底的にこだわる
入社を決意する時には、徹底的にこだわろう。これ以上吟味することがないと思えるまで確認しよう。人事に相談して、例えば先輩を紹介してもらうなどして、仕事内容や待遇はもとより、転勤や出世、休暇、やりがいなどを吟味してから、入社先を決定しよう。すぐに辞めないためにも、周囲に説得力を持って説明するためにも。
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