中小企業診断士とは?

高き人気を誇る中小診断士。

近年、高き人気を誇る中小診断士。ストレートで合格する人が3~4%と言われるほど、非常に難関な資格

中小企業診断士は、ほぼ唯一の経営コンサルタント関連の国家資格として根強い人気を誇ります。中小企業の経営に関わる、会計、法律、企業運営など幅広い分野における知識を問われる難関資格です。

1次、2次試験を含む総受験者数は、2009(平成21)年度試験で15,056名。2次試験の最終合格者は955名です。1次と2次試験は必ずしも同じ年に受けるわけではないため合格率というものは正確に計算はできませんが、1次2次をストレートで合格する率は3~4%と言われています。中小企業診断士の受験者は、2007年度は12,776人、2008年度は13,564人、2009年度は15,056人と年々増え続けて、人気の高さが伺えます。

中小企業診断士の歴史は、1948(昭和23)年に中小企業の経営・技術の遅れを克服するため、中小企業庁が設置されたことに始まります。そのなかで、「中小企業診断実施基本要領」というのが作られたのが直接の契機といえます。昭和27年に、中小企業診断制度の質的・量的拡充を図るために作られた、「中小企業診断員登録制度」が現在の診断士の前身となります。中小企業診断員を通商産業省が登録する制度を作り、それが資格という形になってきたのです。以後、背景や名称は若干変わりつつも現在のような制度に落ち着いています。

中小企業診断士試験の概要

中小企業診断士の試験は、1次と2次試験の2段階があります。

■1次試験は筆記テスト
「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7教科があり幅広い範囲を対象としています。

もう一方の人気資格であるMBA(経営学修士)とは、内容がかなり違います。マーケティングや人事といったMBAではお馴染みのものが独立して試験に科されない一方、運営管理(オペレーション)や法務といった、より現場の運営にかかわる事項が科目として独立しているところが、特徴といえましょう。

1次試験は暗記主体の筆記テストなので、実務経験のない大学生でも受験勉強をすれば合格できます。中小企業診断士にとって大変なのは2次試験です。

■2次試験は筆記と口述
2次試験では、より実践的な筆記試験+口述試験を行います。実際の企業事例をもとに、実際に診断してくださいというテストです。実践的な知識や応用力が必要とされ、非常に難しく弁護士試験などと同様。法律の丸暗記はできても、どのように実践するかというのはまた違ったスキルになり、はるかに難しいのです。

さらに、2次試験合格後すぐに診断士登録できるわけではなく、実務経験を経て始めて登録できるようになっています。もしくは所定の登録機関で研修を受ければ(実務補習15日間)実務経験とみなしてもらえます。このようにして初めて中小企業診断士に登録できるのです。コンサルタントを目指したいから、まずは診断士でも……という軽い考えでは、なかなか取れない資格です。

取得後はどのような活躍が?

取得後の活動については、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した診断士アンケートが実態をよく表しています。

資格取得者の職業の内訳を見ると、職業としてコンサルタントを経営している人が34%います(税理士や社労士など他の資格を持ちながらコンサルタントもやっている人がそのうち16%)。これらは自営のコンサルタント、つまり独立して個人コンサルタントをしている人の数字です。

企業内診断士といわれる民間企業(金融機関は除く)に務める資格保有者もいます。その数が37%で最も多くを占めています。民間企業に勤める診断士の役職をみると、経営者(役員)が12.5%、管理職などが52%となっています。つまり、診断士の最大の活躍場所は、企業内にて資格の知識を活かして管理職で活躍することだといえます。

また、「あなたが中小企業診断士の資格を取得した動機は何ですか?」「資格の活用法」という質問へのアンケート結果が興味深いです。ぞれぞれ、「経営全般の勉強等自己啓発、スキルアップを図ることができるから」 64%、「診断士仲間、異士業間の人脈形成やネットワークに活用している」 39.6%となっています。

つまり、診断士を取得する人の約4割は、役職につくにあたって自己啓発・スキルアップのための勉強の一環として診断士に取り組み、取得後は、その知識を活かして、企業内で活躍しているという像が見えてきます。

転職で中小企業診断士を取得するメリットは?

習得にもデメリットとメリットがあります。

資格試験には習得を目指す上でのデメリットも存在します。まず、資格を目指す前に、どういったキャリアを積みたいかのヴィジョンを持ちましょう

このサイトを読んでいらっしゃるみなさんは、転職のために診断士の取得を考えている方も多いと思います。そこで、転職のために診断士を取得するメリット・デメリットをまとめました。

■メリット
  • 幅広い分野を扱うので、経営に関する一通りの知識を学ぶことができる。全体的な視点で企業を見る視点が養われる
  • 資格取得に努力を要するため、転職では経営に関する知見は一定のものがある人と言う評価を得られる
■デメリット
  • 広く浅くは学べるが、専門性にまで至らないためそれだけで転職の武器になりにくい(特に外資系のコンサルタント会社では評価されにくい)
  • どちらかというと、独立開業向けの資格である
  • 資格取得が難しく、時間も費用がかかる
大企業向けと中小企業向けコンサルティングの違いは多くありますが、一番の違いはコンサルタントが提供する知識の性質にあると考えています。東証一部に上場して従業員が何万人といるような会社では、財務会計・管理会計・人事・調達・製造・在庫管理など、企業の仕組みが一通り出来上がっています。すでに仕組みがあるところに、さらに競合他社より競争力をつけたいというニーズでコンサルティングを依頼してくるのが大企業です。

大企業のコンサルタントは、すでに出来ている状態から、もっと効率的にやらなくてはいけないというのを助けています。特定の業務や領域に対して、より深く専門性を持って、最先端のやり方、方法論、ノウハウなどを注入して解決するというのが、基本的な取り組みです。ですから、その分野において、より深くエッジの利いた経験が必要とされるのです

一方、中小企業向けのコンサルティングというのは、ある意味では逆です。中小企業の場合は、仕組み自体が存在しないか、非常に脆弱なものであったりします。それを、そこそこのレベルまで引き上げるということを主眼としています。また、中小企業コンサルでは、会計だったら会計だけ、ということではなく会社全体を見るのも特徴です。社長にコミットして、会社全体の底上げを戦略から会計から営業指導まで含めていろいろやるのが中小企業向けコンサルのスタイルです。

それぞれのスタイルによって、身につけるべきスキルや経験が違ってきます。診断士資格の取得においても、自分がどのようなコンサルタントを志向し、どのようなスキルを身につけるべきかという構想があって、そして初めて資格に取り組むべきものです。何の資格でもそうですが、転職に有利だからという目的で取り組むのは再考したほうがいいでしょう。

これは、資格取得を否定しているわけではありません。その資格本来の目的を考えて、その技能や専門性を身につけたいから取得するという基本に立ち返って考えて欲しいのです。そうであれば、かかる労力やお金以上のものが得られるでしょう。診断士においても、明確に得たいスキルの目標をもって取り組めば、勉強している過程で学べることは広く、難しいが故に実りのあるものになるでしょう。得た知識を使って、より高いレベルの能力を発揮して活躍できる場面は沢山あります。

■関連サイト
社団法人 中小企業診断協会


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