コンサルティング業界は転職が当たり前
在籍年数の短いコンサルティング業界。その理由は? |
1つは、コンサルティング業界自体の流れが速いこと。近年、新興コンサルティングファームが多く設立され、業界の規模が拡大しています。よりよい年俸や条件で人材が引き抜かれたり、自分がやりたい仕事を求めて会社を移動したりと、コンサルティング会社間の転職は日常的に行われています。なかには、いったん異業界に転職しながら、もといたコンサルティング会社に戻ってくるという、通称「出戻り」のケースも存在します。
2つめは、コンサルティング業界で短期間で経験を積み、次のステップを目指す人が多いこと。短期間に濃い経験ができるコンサルティング業界ならではといえましょう。次のステップとしては、一般会社の経営幹部候補として転職したり、ファンドや投資銀行といった金融業に転進する人、または起業といったキャリアが考えられます。人材の入りも激しければ出も激しい、というのがコンサルティング業界の特徴です。
中途採用が中心、未経験者採用にも積極的
退職する人が多ければ、それだけ採用も活発。コンサルタントの採用ルートは新卒と中途がありますが、多くの会社が中途採用を中心に据えています。新卒採用を行っている会社であっても、新卒採用と同じくらいの人数の中途採用を行っているのが普通です。コンサルティング会社の中途採用は、コンサルティング業務経験者のみだけではなく、積極的に未経験者の採用もしています。
戦略系のコンサルティング会社では、メーカー、金融機関、商社、官公庁など業種を問わず、職種も企画職だけではなく研究職などからも採用。なかには医者や弁護士からの転進事例もあり、多彩なバックグラウンドから採用事例があります。
業務・IT系のコンサルティング会社では、SEやプロジェクトマネージャー、業務パッケージベンダーからの採用はもちろんのこと、一般会社からでも、特定分野で強み(たとえば原価管理、連結決算など)がある人は対象になります。
他業界で3~10年くらいの経験を積み、20代半ばから30歳前半までに転職するというのが一般的。35歳を超えてコンサルタント業務未経験の場合は、転職は難しくなります。
2009年8月現在においては不況の影響により、各社の採用は限定的です。転職を検討の際には求人要綱などをよく確かめてください。
ノウハウが必要なコンサルタントへの転職
コンサルタントへの転職は、ハードルが高いといわれます。特に、外資系の戦略コンサルティングファームにおいては、他の業界では出されることのない「ケース面接」という特殊な面接が行われます。これは、候補者が何を知っているかを問うのではなく、本質的な思考能力があるかどうかを問う面接です。例として、フェルミ推定と呼ばれるタイプの問題があります。「シカゴにピアノ調律士は何人いますか?」「羽田空港の利用者数を推定してください?」といった答えのない問題が出題されます。
中途の採用ではさらに問題が高度になり、「売上や利益の推移といったデータ・グラフを渡され、そこから事業の建て直しプランを練らさせる」「市場データなどを見て、参入戦略を考えさせる」といった、思考能力に加えてビジネス経験が必要な問題が出題されます。これらの問題は面接時にその場で渡され、その場で解答しなければいけません。ただし業務やIT、人事のファームはケース面接は出題されず、過去の職務経験を掘り下げる面接が一般的です。
面接では過去の職務経験に対しても「なぜ? なぜ?」が繰り返し聞かれ、厳しい突っ込みが入ります。少しでも論理的でなかったり一貫性がないと、その部分に対して「なぜ?」という指摘が入ります。事前準備が不足していると、たじたじになってしまうでしょう。
次のページは、成功するコンサルタント転職のコツを紹介します。