景気回復と都心回帰傾向の強まりから都心部の地価が回復、改正基準法の影響が少し薄らいできたところへ米国発のサブプライムローン問題の発生。不動産市況の低迷から販売不振が続き、金融機関が新規融資へ慎重な姿勢をとるなか、さらに原油や建築資材の高騰が追い討ちをかける悩ましい状況です。
もちろん、モノの値段の上昇は建設・不動産業界だけに厳しいわけではありません。あなたも、あなたの回りでもガソリンや食料品、日用品の価格上昇に対抗した生活防衛策を講じていらっしゃることと思います。ただ不動産業界は、「融資を受けて造って売って」の繰り返し。この高額なお金の循環がどこか一箇所でも滞ってしまったら、動脈硬化は免れません。
マンションを購入し5年が経過したK子さん。企業の倒産ニュースを聞くたびに心配でなりません。「自分のマンションの売主が倒産したら?」の影響について考えてみましょう。
あなたのマンションはあなたのもの
事業主・売主の倒産は、私の大切なマンションに影響があるの? |
ただし、例えば大規模マンション等で敷地内のフィットネス倶楽部や温泉施設を売主が権利を持って運営していたとすれば、話は別。倒産の内容にもよりますが、売主が破産して施設等の権利を第三者へ売却した場合には、その第三者の方針次第。施設の運営を停止するかもしれません。一方、売主が民事再生法の手続きを申請し、事業を継続しながら再建を目指すのであれば、基本的には引き続き同様の運営がなされると思われます。
売主が提供する、アフターサービスも要注意
専有部分(居宅部分)や共有部分(廊下、エレベータなど)に瑕疵(本来の機能を果たしえないこと)があれば、売主は責任を負わねばなりません(瑕疵担保責任)。また、引渡し後に売主が独自に提供するアフターサービスの履行責任も同様です。ただしこれらは売主が存在することが前提であり、売主が破産してなくなれば、瑕疵担保責任の履行ができない場合があるので注意しなければなりません。
そして、そのような事態となったマンションは買換えの際、売れ行きや価格に影響がでることが考えられます。マンションには売主のブランド名が付いていることが多く、マンション名をみれば売主がわかってしまうのは少々辛いところです。
さて、次のページでは、売主と関係の深い、管理会社の万が一について考えてみましょう。