3つの深い意図「なぜウチなの?」
質問の意味を考えてみよう
直球のこの質問は、あなたの決心の度合いを量るだけではなく、採用担当者にとって3つの深い意図を持っている。
●あなたが考える「就活」とは
●あなたが欲しい「価値」とは
●あなたが持っている「仕事力」は
学生にとって「内定」は就活の最終章であっても、企業にとっては入社への扉。「一緒に働く人」として見極める直球の質問なのだ。
「なぜウチなの?」の意図【1】-あなたが考える「就活」とは
ナビの導入によって就活の仕組みが変わってから、受験勉強のような就活が急増してしまった。誰でもどこでも気軽にできるフリーエントリーは、「本心を隠してもまずは内定を」のような場当たり的な内定対策を生み出した。それは、働き始めてから必ず不協和音となって表れ、早期離職の波は今も止まらない。企業にとっての新卒採用は、少なくとも3年~5年以降に向けた大きな投資。「内定欲しさの学生」か「ここで働きたい学生」か、この質問の一つ目の意図はそこにある。あなたが本当に働きたい場所へ向かっているのなら、「なぜ」は簡単に答えられる質問だから。また、仮にいくつかの企業間で迷っている人だとしても、そこで働きたい理由は語れるはずだ。
「なぜウチなの?」の意図【2】-あなたが欲しい「価値」とは
勤務地・転勤の有無・福利厚生・研修制度などの雇用の条件は、求職者にとっては大切なもの…但し、それは「居場所としての価値」。あまりにもそこに目を向けて就活をしている学生は、「働いて得たい価値」をその企業の仕事とリンクして語ることができない。そのことを経験値として知っている人事さんは、「なぜウチなの?」と問いかける。条件を求めるのは悪いことではないけれど、企業と学生は50:50。お互いに提供し合ってこそ幸せになれる就職なのだから。「なぜウチなの?」の意図【3】-あなたが持っている「仕事力」は
「仕事の8割は準備」仕事のできる社会人ならだれでも知っている。「仕事力は準備力」と言っても過言ではない。就職活動の準備にはいろいろあるけれど、その中で受け身のままでは決して上手くいかない準備が「企業研究」なのだ。だから「なぜウチなの?」と問われて、“聞いたまま・見たまま”を受け売りで答える学生にはどうしても仕事力を感じない。また世間一般に言われている企業の評価を語られても人事さんは困る。自主的に課題(疑問)を持って調べる。知らない言葉を調べる。その企業を、その事業を、その仕事をもっと知りたいと思って調べる。その姿勢と結果が「なぜ」の答えとして出てくるのだ。
最終面接前に問われる「なぜウチなの?」
最終面接は決裁者として担当部長や経営陣が面接する場合が多い。現場の採用担当者としてはその御前に「ウチに入りたい学生」を送り出したいのは当然のこと。さらに売り手市場の今、内定出し後の辞退率の高さは企業にとって致命傷になる。かと言って世間をにぎわす「おわハラ」はしたくない。だからこそ最終前の「なぜウチなの?」が重要な質問になっている。また最近では、トラブル回避の意味合いもあって「最終面接前の役員面談」を実施する企業も増えている。「なぜウチなの?」は就職する学生にとっても、採用する企業にとっても本当に大切な問い掛けなのだ。できるなら「なぜウチなの?」のQ&A対策ではなく、本気になってその企業に向かって行って欲しいと願う。