成果主義制度のデメリット
成果主義はどちらかというと人件費削減という企業側のメリットばかりが重視されていないだろうか? |
- いきなり変えても、ついていけない社員がいる。
「さて、今年から成果主義に変えますのでよろしく!」と改革しても、今まで年功序列をベースとして頑張ってきた社員が、いきなり意識を変えられるわけではない。自ら目標設定をし、その達成度によって自らの役職や給与が決まるなんて、特に高齢者には難しいだろう。今まで長いタームで会社に尽くすことがすなわちその人のキャリアだったのに、今度は時代の変革の速度にあわせて、半期や四半期(3ヶ月)ごとに目標設定しろと言っても、できない人が出てきてもおかしくない。自ら個人のキャリアを考えろと突き放されても、転職する度胸も無い。ただただ給与やポストが下がるだけの会社生活は、さぞかし辛いと思われる。
- 差をつけられた社員のロイヤリティを奪う。
結果、差がつけられた社員は、当然会社の忠誠心(ロイヤリティ)も失うだろう。
「時代が変わったんだし、仕方ないじゃないか」
と思うだろうけど、それまで会社は社員に対しその準備をさせて来なかったんだから、ついて来れない社員だけの責任にするのはその人を裏切ることに繋がる。社内のムードはかなり沈むだろう。
- 目標が短期になったり、簡単なものに設定してしまう。
今までは会社の年度目標に何となくベクトルを合わせておけば良かったのに、いきなり半期や四半期(3ヶ月)ごとに目標設定しろと言われると、当然「その期間で達成できる目標」しか立てなくなる。例えば長期間研究開発が必要な案件や、交渉や根回しでじっくり腰を据えて取り組まなくてはならない案件、組織を超えた案件などなど、短期間で成果が見えない目標は当然立てなくなる。そのために1年先の会社の将来の姿は見えても、5年後や10年後の姿は到底イメージできない。結果、ロイヤリティも薄れていくだろう。
- 目標に至るまでのプロセスを無視してしまう。
目標をクリアするかだけで評価するという事は、そのプロセスは当然無視されることに繋がる。ただでさえ最近の大学生はすぐに「答」を知りたがる傾向にあるのに、それに輪をかけて入社後成果主義に晒されることで、「自らじっくりプランを考えて、試行錯誤を続けること」ができなくなってしまう。結果、比較的簡単にトライできる目標設定が君臨し、社員の能力も向上しないし、結果、ライバル他社との競争力を奪ってしまうことになる。また、結果至上主義は、社会的モラルも捻じ曲げてしまうことにも繋がる。最近の保険会社が保険金を支払わなかったり、消費者金融会社が顧客を追い詰めたりする例は、成果主義の悲しい結末の一つかもしれない。
- 年下(後輩)に仕事を教えることをしなくなってしまう。
成果主義になれば、自らが持つ仕事のテクニックやノウハウを他人、そして後輩にも教えなくなってしまうだろう。結果、その社員のノウハウやテクニックが伝承されなくなれば、じわじわとその企業が培ってきたノウハウやテクニックの継承すらも危なくなってくる。その企業の至宝でもある「秘伝のたれ」がその社員個人に委ねられてしまい、その社員が転職したり定年退職することで、その「秘伝のたれ」は二度と使えなくなってしまう。OJT(On-the-Job Training)もままならない。
- 査定の公平性、納得性を示すことが困難である。
成果主義制度の最大のウィークポイント。例えば隣の部署の同僚以上の成果を挙げた自負があるのに、その上司との折り合いが悪ければその同僚よりも評価低い可能性が出てくる。また、管理部門や研究部門など、その成果を明示しにくい部署は、評価を得難いだろう。逆に全体の業績が悪い時に逆にいい評価になってしまい、営業部署からの反感を持たれてしまう可能性もある。もっと言えば、何か新しい事業に投資したり、全体の業績が悪かったりすると、その成果に報いる報酬のファンド(原資)が少なくなってしまい、折角頑張っても去年より報酬が下がってしまい、やる気が削がれてしまう可能性もある。
うーん、やはり成果主義は日本の企業に合わないのだろうか?
しかし、年功序列が今の社会に合わなくなっているのも確かだ。
さて、どうしたらいいのだろう。
そして、大学生のみなさんは、どんな制度を持つ企業を選ぶべきなのだろうか?
※次のページで、君が会社を選ぶ時のポイントを学ぶ!