キャリアセンターと就職部の違いは?
ところで大学でも就職部(課)が「キャリアセンター」と名前を次々と変えはじめていることにみなさんはお気づきだろうか? さて、就職部とキャリアセンターとはどこが違うのだろう? ポイントは対象の学生にある。就職部のメインの仕事は、その名の通り「就職を支援する組織」である。よってメインの対象は「大学3~4年生」であり、「就職相談」「求人票提示」「就職活動を支援する講座やセミナーの実施」などを業務とする。
しかしキャリアセンターは、今までの就職部の仕事に加えて、低学年向けキャリア発達プログラムの実施、キャリア形成に即した履修相談、インターンシッププログラムの実施運営、そして就職以外のサポート(留学、起業、大学院進学、資格取得…)など、キャリアの全てに関わる支援を行う。つまりキャリアセンターとは、「大学1年生から卒業生」を対象に、「全学生(卒業生も含めた)のキャリア自律支援を行うワンストップサービスセンター」なのだ(大学によってはあいまいなところもあるが)。
例えば立命館大学は、キャリアセンターを設置し、大学1年生からのキャリア形成プラグラムを実施している。早稲田大学にも、キャリアセンターがあり、“学びの杜ワセダ”プロジェクトの一環で新入生向けのキャリア自律支援を実施している。立教大学もキャリアセンターがあり、大学1~2年生向けに「自己成長プログラム」や「進路支援プログラム」を実施している。
なぜ、従来の就職部がキャリアセンターへの移行を始めたのだろう。
答えは「フリーターやニートをこれ以上増やさないため」、そして「大学の生き残り戦争に勝ち残るため」だ。学生を取り巻く雇用環境が大きく変化し、厳しさを増している一方で、フリーターやニートの増加が社会問題になっている。採用・雇用形態が変化し、リストラや合併吸収・倒産など社会の雲行きも予測不可能な状態で、従来のように「一流企業に入れば一生が約束される」という神話は既に崩壊した。そんな日本の社会において、大学に求められているものの一つとして、常に目標と問題意識を持ち自己責任を伴う取捨選択、すなわち意思決定を積極的に積み重ねることができる人材の育成及び輩出がある。その意味で、近年の大学でのキャリア教育の広がりは、時代の要請に応えるものと言えよう。
考えてみれば分かる。大学3年生になっていきなり「何がやりたいの?」「何ができるの?」「なぜ働くの?」なんて聞かれても、容易に答えられる学生は少ないだろう。エントリーシートを前に「できることを書け」と言われても困るに違いない。模擬面接で「何がやりたいの?」と聞かれても絶句してしまう。親に「働け!」と言われてもやる気が起きない学生もいるだろう(最近は「働かなくてもいいよ」という親もいるそうだ)。大学3年生になって困る前に、大学入学時点からキャリアに関して考えておく準備の必要性は、疑う余地は無い。
さて、みなさんが在籍している大学に、どんなキャリア支援プログラムがあるのだろうか。もし無かったら悲しいことだ。自分で何とかするしかない。もしあるのなら、ちゃんと活用するべきだ。とにかく、一度確認してみよう。
※91.3%の大学が「低学年でのキャリアに関する指導が必要」と考え、57.1%の大学がすでに「指導を実施している」と答えている。(「キャリア教育再考」『Between』2004年6月号。調査は2002年10月実施。)
※就職部の名前がキャリアセンターであっても、大学1~2年生向けのキャリア自律支援を行っているかどうかはわかりません。また、名称が就職部のままでも、大学1~2年生向けのキャリア自律支援を行っているかもしれません。ただポイントは、大学1~2年生向けのキャリア自律支援プログラムが、単に大学3~4年生向けのプログラムを低学年用にカスタマイズしただけなのか、ちゃんと大学1~2年生向けに独自に作ったものなのかが重要である。
※就職部の名前がキャリアセンターであっても、大学1~2年生向けのキャリア自律支援を行っているかどうかはわかりません。また、名称が就職部のままでも、大学1~2年生向けのキャリア自律支援を行っているかもしれません。ただポイントは、大学1~2年生向けのキャリア自律支援プログラムが、単に大学3~4年生向けのプログラムを低学年用にカスタマイズしただけなのか、ちゃんと大学1~2年生向けに独自に作ったものなのかが重要である。
※次のページで、キャリアカウンセラーが履歴書を作ってくれるサービス、どう思う?