傾聴する(理解をフィードバックする)!
「カウンセリングは傾聴に始まり、傾聴に終わる。そのため、傾聴技法は数多いカウンセリング技法の中で最も重要な技術である。(中略)傾聴技法は3つの主要目的を持つ。まず第1は、クライアントを正確に理解することである。(中略)第2の目的は、カウンセラーが理解した内容をクライアントにわかりやすい言葉でフィードバックすることである。(中略)クライアントへの理解とフィードバックを繰り返すことにより、カウンセラーとクライアントとの間に肯定的な人間関係(ラポール)が生じる。傾聴技法の目指す3番目の目標は、このラポールをしっかりと確立することである。」(出典:『カウンセリングテクニック入門』大谷彰)クライアントはカウンセラーに悩みを相談する。悩みを語るという事は、自分をさらけ出すこと。よって相談する上で一番重要なのは、カウンセラーを信頼できるかどうかだ。よってカウンセラーは悩みを聴く作業(傾聴)を通して、クライアントから信頼を勝ち得なければならない。つまり、傾聴は反応力と全くの同義だ。傾聴できる人が同時に反応力を持つことになる。
さて、面接官に「この学生は反応力を持っているな!」と思わせる「傾聴」って何だろう。それは大谷さんが示す通り、
- 面接官の言葉を正確に理解すること
- 面接官へ自分が理解した内容をわかりやすい言葉でフィードバックすること
「面接官の言葉を正確に理解すること」
まず事前に会社研究を全力で行わなくてはならない。業界や会社、そして現場の仕事を知らずして、面接官の質問の意図を推し量ることはできない。相手が望む回答をすることはできない。
「面接官へ自分が理解した内容をわかりやすい言葉でフィードバックすること」
これは少々訓練が必要だ。フィードバックには次の4つの方法がある(出典:『カウンセリングテクニック入門』大谷彰)。
- 明確化…あいまいな発言をはっきりさせる。
- 感情反映…感情に焦点を当てる
- 言い換え…感情以外の事柄を意訳する。
- 要約…複雑な発言を整理する
面接で実践できるのは、こんな感じかな?
面接官:「たくさんのお客様に来店していただくにはどうすればよいですか?」
学生:「それは店作りの工夫について考えればよろしいですか?」(明確化)
面接官:「あまり覇気が無いようですが…」
学生:「元気が無いように見えて、物足りない思いをさせてしまったのですね」(感情反映)
面接官:「弊社で働く上で必要となる気概は何だと思いますか?」
学生:「それは御社が必要とする気概をお伝えすればよろしいですか?」(言い換え)
面接官:「ネットの普及で低迷した(…長い話…)どういう戦略を立てますか?」
学生:「つまりネットではできない戦略ですね?」(要約)
このフィードバックをするのとしないとでは大違いだという事、わかるよね。
別に立派な自己PRをしろというのではない。面接官に「話を理解したことを、フィードバックする」だけのこと。この作業だけで、かなりライバルに差をつけることが可能だ。
※傾聴は「大間違いな回答を防ぐ」作用もあります。さらにとても難しい質問を喰らった時に、少しでも会話を続けた意志を示すことにもなります。何も答えないより遥かにマシだ。
※次のページで、もっともっと反応力を伝える方法「質問を用意する!」