大学生の就職活動/就職活動での業界・企業研究

後悔しない業界&会社研究講座<基本編>(2ページ目)

業界&会社研究には二つの目的がある。一つはその会社への自分の熱意を確認するため。もう一つは自己PRが的外れでないかを検証するためだ。後で後悔しないためにも、面接で恥をかかないためにも、真剣に取り組もう。

執筆者:見舘 好隆

志望する会社の事業内容を簡単に整理する!

さて、意中の会社を見つけた。もしくは興味がある業界を見つけた。何となくでもいい。「やりたいことがみつからない…」と悩む学生に比べたらとてもいい状態だ。というわけでまずその「興味関心」パワーを活用して、業界&会社研究をしてみよう。そもそも、業界や会社を知らずして、的確な自己PRを作ることなんてできないのだから。

まず最初に志望する会社の事業内容を簡単に整理してみよう。

    • どのような商品・サービスを、どのような市場に提供しているのか?
      基本的なことだけど、あらためて確認しておこう。意外に勘違いしていたり、見逃していたりするものだ。例えばユニチャームはベビー用品や生理用品で有名だけど、介護商品やシルバー向けの軽失禁用品も扱っている。宝酒造はその名の通り「松竹梅」「純」「タカラcanチューハイ」などのアルコール飲料メーカーだが、「タカラ本みりん」をはじめとした調味料も作っている。赤ちゃんと老人、お酒と調味料。当然市場は違うし、広告を載せる雑誌の種類やCMを流す時間帯などプロモーションも変わるだろう。

      その会社の商品・サービス、そして狙っている市場は何かをしっかり把握しておこう。
       
    • その供給システムはどのような構造になっているのか?
      供給システムとは「仕入・調達」→「生産・製造・加工」→「物流」→「販売拠点」のことだ。どこから仕入、どこで生産し、どうやって流通させ、どこで売っているのかを改めて確認しよう。例えば婦人下着のトリンプは百貨店に卸すだけでなく、「AMO'S STYLE」など直営店を展開している。ユニクロは中国で生産し、直営店でのみ販売している。ビームスはオリジナル商品もあるがほとんど海外衣料を輸入したセレクトショップだ。またソニーはソニースタイルを除き販売はヨドバシカメラなどの量販店や全国のソニーショップに卸す。しかしデル・コンピュータはインターネットによる直販だけ。量販店に「デル・リアル・サイト」があるが、あくまでもショールームであってお持ち帰りはできない。

      このように同じ業界でも供給システムは全く違うことに注意しよう。
       
    • 経営資源にはどのような特徴があるのか?
      経営資源とは企業経営に用いられるヒト・モノ・カネ・情報といった資源のこと。アクセンチュアなら「ヒト」だし、トヨタなら「モノ」だし、三井住友銀行なら「カネ」だし、ウェザーニューズなら「情報」だろう。でも経営資源はそれだけはない。例えば東京電力は電力会社だけど、経営資源である「電信柱」を武器に光ファイバー網「TEPCO」を展開している。JR東日本は駅構内にショッピングモールをスイカを活用しつつ展開中だ。アマゾンドットコムジャパンは書籍をネットで販売する仕組みを活用し、今では鍋も売っている。セブンイレブンはその物流を生かして例えばイーエスブックスで注文した書籍を受け取りサービスを実施し、24時間営業を生かして銀行ATMも展開し銀行も始めた。

      何が経営資源でなのか、そしてその資源をどのように生かしているのか、ハッキリ把握しておこう。


※次のページで、志望する会社が採るべき戦略とは何か?を学ぶ!
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