為末選手は、2003年に大阪ガスを退社した。より厳しい環境を求めた「プロ陸上選手」となったのだ。
「昨年からプロとして活動して以来、誰が、私の何に対価を支払っているのかと考えていた。私はなぜ試合で賞金をもらえるのか。なぜスポンサーから支援が受けられるのか。収入の理由を改めて考えるようになった。(中略)スポーツには勝負がつくまでの過程がある。ほんのコンマ数秒を縮めようと、自らを痛めつけるようなトレーニングや、あらゆる試行錯誤をする。様々な姿勢や背景があり、その上に勝負があるからこそ感動を呼ぶ。そして感動があるからこそスポーツは成り立っている。プロの業とは実力のみにあらず、その姿勢をも含めてこそ対価の対象なのだ。」(※出典:為末大オフィシャルサイト「侍ハードラー」)
このプロ根性こそ、「持続すること」で身に付けた力だ。プロすなわち、その業に対して対価を得る専門家。よって、その業に対して微塵の妥協は無い。さらにその業をアウトプットするためのプロセスに対しても隙は無い。その積み重ねを徹底したものだけが、勝利を掴み取り、感動を呼ぶということだ。
会社を辞めプロの道を選ぶことで、彼は自らに「持続すること」を課したのだ。「持続すること」で結果、「リスクテーキング」のセンスを身に付け、さらに試練を乗り越える経験を得、「楽観的に考える力」さえも手に入れたのだ。
言い換えればこれも「たくさん経験を積むこと」に繋がっていく。
インターンシップにしても、アルバイトにしても、そして新卒で入った会社にしても、ある程度長く「持続」しなければ、得るものも得られないだろう。就職活動も同じ。1社、2社落ちたぐらいで諦めるほど、君は何も就職活動していない。
例えば、君が就職活動のプロだったら、1日に何社受験するだろう。何社エントリーするだろう。何冊SPIの問題集をこなすだろう。何店舗見学に回るだろう。もし、就職活動を「持続」できないなら、君は「就職活動のプロ」じゃない。ただ何となくやってるだけ。アルバイトを探す気分でテンポラリーに努力する“ふり”をしてるだけだ。
就職活動に「プロ意識」があっても、いいんじゃないだろうか。
※私事になるが、私も4月より大学生のキャリア支援のプロになった。今まではプライベートの時間を使っていたが、今は本業だ。やはり本業としてキャリア支援に接する時間が長いと、掘り下げる深さも、入ってくる情報の量も、今までと比較にならない。「持続すること」の価値を今体感している。やはり、更なる高みを目指すならば、持続してチャレンジできる環境を、手に入れることが肝要だろう。
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